井上尚弥が“悪童”ネリの計量失格に怒りもバンタム級制覇計画に狂いなし?!
実は、井上尚弥は、ネリに対しては、ずっと嫌悪感を抱いていた。 WBSS決勝でノニト・ドネア(フィリピン)との死闘を制した一夜明け会見でも対戦希望ボクサーとして弟の拓真が敗れたWBC同級王者のノルディ・ウーバーリ(フランス)、WBO世界同級王者のゾラニ・テテ(南アフリカ)の名前を出したが、あえてネリの名前は口にしなかった。 井上家の“参謀”真吾トレーナーも、「ルールを守らないボクサーは認めることはできない。それはボクシングじゃないですよ。井上家は誰からも逃げないが、あえてやる必要がありますか? そもそもネリは日本で試合できないじゃないですか」と、対戦拒否の姿勢を貫いていた。2018年3月の山中慎介との再戦では、バンタム級(53.5キロ)のひと階級上のスーパーバンタム級のリミット122パウンド(55.3キロ)を超える123パウンド(55.8キロ)で前日計量に現れて山中を激怒させたが、その一件以来、現在、ネリは、日本のリングから事実上の永久追放処分となっている。対戦するとすれば海外リングしかなかったが、そもそも井上尚弥の眼中になかったのだから、ネリが失態を冒そうとも、井上陣営の今後のバンタム級制覇路線に何の影響もないというのが実情だろう。 米の格闘技系の専門サイト「ファイトフルドットコム」も、「ネリは、もう一度(WBC)タイトルを獲得することからの後退を余儀なくされた。ネリは、試合前にロドリゲスに勝ち、WBC王者のウーバーリと戦うチャンスを得ると確信していたようだが、今回の違反行為でタイトル挑戦は、もう将来的になくなったのかもしれない」と報じた。また「ボクシングニュース24」は、「スーパーバンタム級転向を決断すべき」と指摘した。 ウーバーリの指名試合の相手が、ロドリゲスになるのか、それとも当初対戦が予定されていた元WBA世界同級スーパー王者、ルーシー・ウォーレン(米国)と、ロドリゲスの試合が再度セッティングされるのかわからない。 だが、井上尚弥の次戦の舞台が、ラスベガスで予定されていることを考慮すると、プロモート契約をしたトップランク社が、米国のマーケットに名の通っていないウーバーリを対戦相手に指名することは考えにくい。12月21日には、ギジェルモ・リゴンドー(キューバ)が1階級下げて、山中、亀田大毅と対戦経験のあるリボリオ・ソリス(ベネズエラ)とWBA世界バンタム級正規王座決定戦を行う予定だが、リゴンドーは、FOXスポーツが中継するPBCと契約しており、ESPNと契約しているトップランク社が起用することは難しい。 これらの状況を踏まえると、井上尚弥の米再上陸となる次戦の最有力候補は、30日に防衛戦を控えているテテの結果を待って固まりそうなムード。正統派が信条の井上尚弥にとってプロの風上にもおけない“ネリなんかに構っている暇はない”が本音かもしれない。