ジュラシックカップ誕生秘話 “フィットネス界のフィクサー”KENTO氏の見る日本ボディビルの未来
ボディビル業界のさらなる発展のために
KENTO氏がボディビル業界に深く携わる理由は、業界の一般認知度と訴求水準に対して、「もったいない」と感じた経験が大きいという。 「ボディビル業界は外部へのプロモーションという点では10年、20年遅れているといっても過言ではないです。中身がいくら良くても、見栄えが悪ければ手に取ってもらえない。僕はボディビルが好きで、その競技性は素晴らしいと思う。でも、魅せ方についての意識が非常に薄い」 これは、観客として多くの大会を観たなかで感じた不満が原体験になっている。 「一部の熱狂的なファンにのみ支えられるだけでは、世界の発展がない。発展がないということは、衰退してしまうということです。僕はボディビルを、もっとメジャーで皆が楽しめるものにしたい。ニッチだからこそ培われた深い世界観の良さをできるだけ壊さないまま、もっとたくさんの方に楽しんでもらえる競技にしたい。難しい課題ですが、やり甲斐があります」 構想を練るのは基本的に自分のみで行なっているという。たった1人で難問に挑み続けることに辛さはないのか、という問いにKENTO氏は「面白い」と答えた。 「僕は多分、究極は“永遠に考え続けなければならない何か”に挑戦するのが好きなんだと思います。簡単に結末が見えるものには、面白みを感じない。どうなっていくのか読めない、不確実だからこそ、成功に向けての努力が楽しい。栄養学を研究したのも、人体という机上の計算・理論だけでは太刀打ちできない、不確実なものに関与するということに底のない魅力を感じたからです。今は、ジュラシックカップを今後ブラッシュアップして続けていく上で、最終的にどんなものが出来上がるのか、その結末がみたい。きっとこれは永遠に解けないですから、長い挑戦になると思います。そこにひとりでも多くの人の幸せや楽しみを生み出せるといいなと」 最初は1人で取り組んできた課題だが、規模の拡大とともに協力者も増え、チームとしての力も増してきているという。また、現在のKENTO氏の主戦は海外法人向けのWEBマーケティング支援企業の経営であり、事業拠点も海外(UAE)のため生活の9割を国外で過ごす。フィットネスのメインストリームであるアメリカ・ヨーロッパで自分がどこまで通用するかを試すため、栄養学を始めとするオンラインコーチング事業(toC)・ソーシャルメディアサポート(toB)などからスタートした事業だ。 「日本が世界に誇るナチュラルボディビルディングも、いつか世界に持っていけたら嬉しいです。僕のことを信じて受け入れてくれている人たちの期待を超えられるように、これからも挑戦し続けていきます」
取材:にしかわ花 撮影:中島康介