中国半導体製造装置の2025年市場予測
今月20日、米国ではドナルド・トランプ氏が新大統領に就任し、新政権が発足する。トランプ新政権の経済政策として、追加関税措置やハイテク産業に関わる機器等の禁輸措置などが強化されることも懸念され、今後の動向を注視していく必要がある。半導体業界に与える影響も大きく、中国における半導体製造装置への投資は半導体製造装置の需要のみならず今後の半導体デバイスの流通量にも関わってくる。2024年の中国における半導体製造装置の市場動向を振り返るとともに、25年の市場動向を探る。 市場予測について説明するツェンシニアディレクター 24年は過去最高の売上額を更新 SEMIが昨年末に発表した世界半導体製造装置の市場予測によると、24年は過去最高となる1130億ドルに達し、前年比6.5%の成長となる見込み。半導体製造装置市場は前工程および後工程の両面で成長を持続し、25年には1210億ドル、26年には1390億ドルと最高額を更新し続けると予測する。地域別での売り上げは中国市場がトップ。24年の中国市場は景気低迷が続く中でも、底堅い装置需要がけん引した。 この中国市場における需要拡大の背景にあるのが、米国による最先端半導体製造装置の禁輸措置。米中対立の先鋭化を受け、今後レガシー半導体の製造装置にも規制が掛かるのではとの憶測を受け、中国企業が製造装置の“買いだめ”を狙ったためだ。中国への装置出荷額は24年に過去最高の490億ドルに達すると予測される。22年から24年まで続いた大規模投資の反動もあり、中国市場は25年には縮小する見通しだ。 25年以降は正常化するも世界最大市場 SEMI市場情報担当チームのクラーク・ツェン シニア・ディレクターは「半導体製造装置のグローバル市場における中国のシェアは24年は43%となった。25年以降は正常に戻っていくとみられ、25年には31%、26年には28%になると予測される。シェアが減少するとはいえ、最大市場であることは間違いない。今後も地域別の動向には注視していく必要がある」と話す。 中国半導体製造装置メーカーも育ちはじめている これまで中国は半導体製造装置や材料分野が弱く、海外からの輸入に頼っていた。しかし近年、中国政府による半導体国産化政策や国策ファンドの後押しを受け、半導体製造装置企業も育っている。昨年3月に上海で開催されたSEMICON Chinaでは、最大手の北方華創科技集団(NAURA)や中微半導体設備(AMEC)が出展し、来場者の注目を集めた。 中国における半導体国産化の動きは、日系企業も含む海外メーカーへの受注増とともに中国半導体製造装置メーカーへの受注も押し上げる。中国企業による半導体サプライチェーン構築の動きも視野に入れ、動向を注視していく必要がある。中国は世界半導体市場の約3割を占め、今後も成長が続くと見込まれる。半導体関連各社はトランプ新政権の経済政策や米中関係の動向を踏まえながら、事業戦略を推し進めていくべきだ。
電波新聞社