フラッド×ラウンジ×w.o.d. スプリットツアー『BAND BOOM』ファイナル公演レポート
a flood of circle×SIX LOUNGE×w.o.d.のスリーマンスプリットツアー『BAND BOOM』が愛知、大阪、大分の計3カ所で開催。そのツアーファイナルにあたる大分・T.O.P.S Bitts HALLを観てきた。今日のライブハウスは海沿いにあり、会場裏では開演前に釣りを楽しむメンバーもいるほど。ライブ前とは思えない和やかな空気が流れている。しかし、いざ本番が始まれば3バンドによる化学反応は凄まじく、ツアー3本で終わるのは「正直もったいない!」と思わされるほど強い余韻を引くスリーマンとなった。 【全ての写真】フラッド×ラウンジ×w.o.d.のスプリットツアー『BAND BOOM』ファイナル公演(全35枚) 今ツアーの出演順はクジ引きで決めたらしく、最終日・大分公演のトップバッターはa flood of circleである。佐々木亮介(vo/g)がアカペラ調に歌い、「大分ー!」と叫ぶと、「月夜の道を俺が行く」でショウはスタート。「気づけば結局 佐々木亮介」とパンチラインが効いた歌詞を含め、オレ節で豪快に突き進んでいく。HISAYO(b)のベースがうねりを上げると、間髪入れずに「ロックンロールバンド」へ繋ぎ、ガレージ感が増した演奏に一気に胸倉を掴まれた。「Sweet Home Battle Field」に入ると、ハンドマイクで踊りながら歌う佐々木。アオキテツ(g)のブルージーなギターソロも映え、フロアは過熱するばかりだ。それから今年8月に出た新曲「虫けらの詩」をプレイ。疾走感抜群のロックンロールで、直情的なパッションを叩きつけた後、ミドルテンポの「LADY LUCK」はポップな歌メロでショウの流れにいいフックをもたらしていた。 怒涛の攻めはまだまだ続く。キャッチーなコーラスを配した「理由なき反抗(The Rebel Age)」では拳を突き上げてノる観客が増えていった。佐々木、アオキ、HISAYOのフロント3人が背中を向け、渡邊一丘(ds)のドラムと呼吸を合わせると、「プシケ」を披露。「大分、ぼんやりしてんじゃねえぞ!」と佐々木は煽り、腰が据わったヘビーなサウンドで攻め立てる。また、アオキの切れ味鋭いギターソロが曲の緊迫感を高めていた。残りは2曲となり、「シーガル」では佐々木のしゃがれ声といい、ドライブ感溢れるアンサンブルも最高。「大分ー!」と何度も呼びかける熱量にも圧倒されるばかりであった。 「こんな時間からやるなら、3周くらいやりたい。人生まとまってない、まとめなくていい!」と言い切ると、最後に「白状」を投下。アコギ弾き語りからバンドサウンドへと移行、しっとり聴かせるアプローチがまた胸に沁み入る。「遠回りでもいい 壊れてもいい 意味がなくてもいい 答えもなくていい」の歌詞も刺さった。何があろうとも、自分の生き方を貫き通す覚悟に満ちた音色に大勢の観客が酔いしれていた。 そして、二番手に出たのは地元・大分出身のSIX LOUNGEだ。SEが流れ、ヤマグチユウモリ(g/vo)、イワオリク(b/cho)、ナガマツシンタロウ(ds/cho)のメンバー3人が現れると、大きな歓声に沸く。オープナーは今年9月に出た新曲「Madness」でご挨拶。パワフルな勢いと緩急の呼吸を併せ持つ演奏が痛快に鳴り響く。 赤い照明が映える中、次は「ナイトタイマー」へ。ユウモリはブルージーなギターをアピールし、フロアの温度は上がり続ける。それから「モモコ」、「LULU」と畳み掛け、演奏もヒートアップ! 「アナーキー・イン・ザ・人生」を挟み、「ライブハウスへようこそ!」と叫ぶと、「スピード」に突入。抜けのいいドラムの音に飛び跳ねる観客やサーフする人も溢れ、風を切るような演奏に会場の熱気は急上昇。続く「トラッシュ」においてもバンドの勢いは止まるところを知らない。 ここで場の空気を変えるべく、「幻影列車」を披露。スケールの大きな歌が会場をすっぽりと包み込む。前のめりの勢いだけではなく、ど真ん中に歌が息づく曲調も彼らの大きな魅力である。「超大好きで、超かっこいい2バンドと回れて、幸せです! 俺らがやめない限り、バンドブームは続くと思います!」とユウモリは力強く宣言。今ツアーを通して、何にも替え難い収穫があったのだろう。ありそうでなかったスリーマンライブでお互いのかっこよさを確かめ合い、また自分たちらしさを再認識する瞬間もあったのではないか。 後半、「メリールー」の冒頭部分を歌った後に「これ佐々木さんっぽいすよね?」と笑うユウモリ。歌い方を佐々木に寄せたつもりだったのか。a flood of circleの音楽を普通に好きで聴いてきたユウモリにとって、少なからず自身の音楽性にも影響を及ぼしているはず。その愛をさりげなく歌い方で表明するところがニクイ。ラストは「僕を撃て」を放ち、リクのベースラインは激しく主張。後半は観客が大合唱するシーンもあり、地元を味方に付けた熱狂的な盛り上がりを見せ、「次はw.o.d.です!」と叫んでバトンを渡した。