農業景況の低調続く コスト高で畜産苦境 23年実績
日本政策金融公庫(日本公庫)は、担い手農業者を対象にした農業景況調査の結果を発表した。前年と比べた農業経営の良しあしを示す景況DIは2023年でマイナス26・9。過去最低だった前年と比べると12・2ポイント改善したものの、厳しい経営環境が続いている。生産コストの負担感が緩和されないことが大きな原因で、遅れている農産物への価格転嫁が急務であることが改めて浮き彫りになっている。 景況DIは、農業経営が「良くなった」とする回答から「悪くなった」を差し引いた指数。23年の景況DIを品目別に見ると、特に畜産・酪農が厳しく、北海道酪農がマイナス56・8、都府県酪農がマイナス45・7。肉用牛はマイナス52・1だった。稲作も北海道がマイナス49・3と厳しさを反映した。 最大の原因が生産コストの高止まりだ。負担感を示す生産コストDIは、マイナス84・6で、過去最低だった前年からの改善は3・7ポイントにとどまる。全ての品目でマイナス75以下を記録し、コスト増の深刻さを示している。資金繰りDIは10・8ポイント改善し、マイナス26・4。 24年の景況DIの見通しはマイナス6・5で、マイナス値は縮小する見込みだ。 景況調査は、スーパーL資金と農業改良資金の融資先の担い手農家を対象に実施している。今回は1月に調査し、6947件(回収率31・2%)の回答を得た。
日本農業新聞