バッハのスペシャリストによるブラームスにときめく
世界最高峰のバッハ演奏団体「バッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)」の新年は、なんとブラームスの『ドイツ・レクイエム』で幕を開ける。 すでにベートーヴェンの『ミサ・ソレニムス』や『第九』のほか、メンデルスゾーンのオラトリオ『エリアス』などを手掛けてきたBCJが、ブラームスの大曲『ドイツ・レクイエム』へと目を向けることは、自然の成り行きのようにも感じられる。“いつかきっと”という期待感が、“とうとうここに”というワクワク感に変わったことは新年早々の僥倖だ。 1869年に初演されたこの曲の構成は全7曲。最大の特徴は歌詞がドイツ語であることだ。カトリック教会における死者の安息を神に願う「レクイエム」は、ラテン語の祈祷文に従って作曲されるのが通例だ。しかしドイツ人にしてルター派信徒であったブラームスは、慣れ親しんだドイツ語の聖書の中から自らが選んだ言葉を歌詞として使用している。それが故に『ドイツ・レクイエム』と呼ばれるようになった名曲だ。そしてこれこそが、ルター派プロテスタントの信徒であったJ.S.バッハからの流れを汲むようにも感じられる。 “歌っていて最も感動する作品”という合唱団員からの声も聞こえるこの作品。筋金入りのBCJの手にかかってどのような化学変化を起こすのか、興味津々。 鈴木雅明 指揮 バッハ・コレギウム・ジャパン ブラームス《ドイツ・レクイエム》 1月19日(金) 19:00開演 東京オペラシティ コンサートホール