公費解体申請想定超え 能登6市町、年末時点で3万4839棟
●10月完了へ県、月内に計画見直し 能登半島地震で半壊以上となった建物を所有者に代わり解体撤去する「公費解体」で、能登6市町の申請棟数がいずれも石川県の想定を上回る見通しとなったことが8日分かった。昨年末時点で志賀町を除く5市町が想定数を超え、申請総数は3万5千棟近くに増加。志賀町も今月中に上回るペースとなっている。県は解体が必要な建物の数が、最終的に多くて4万棟程度になると見込んでおり、10月の完了目標に遅れが出ないよう月内に計画を見直す。 【図表】市町別公費解体の状況 県によると、申請総数は昨年12月末時点で前月比1428棟増の3万4839棟となり、県が同8月に策定した公費解体加速化プランの想定を2429棟上回った。 能登6市町では、七尾が既に想定を千棟余り超え、輪島では800棟余り、能登は350棟余り多くなっている。志賀では12月末時点で申請数が想定を65棟下回っているものの、ここ数カ月は月150棟を超すペースで申請が増加しており、近く逆転する見通しだ。 地震の公費解体では、多くの市町が申請期限を今年度中に設定しており、新年度以降も受け付けるのは七尾と能登にとどまる。年度末にかけて駆け込み申請が想定されるものの、県は「最終的には3万5千~4万棟程度で落ち着くのではないか」(担当者)と見立てている。 解体作業の昨年12月末時点の完了率は申請が増えた分を含め40・6%となり、中間目標に掲げた38・4%を上回った。このため、県は申請数が上振れしても今年10月の完了目標は変更しない方針で、解体班を増強することで作業ペースを上げる。この冬は、奥能登で雪が積もりやすい山間部から解体を進めるなど効率化を図っている。 県担当者は「公費解体の円滑化は『復興元年』の歩みを進めるためのベースになる。可能な限り遅らせないよう工夫して取り組みたい」と話した。