児童虐待、単身高齢者、母子家庭……役割増す制度100年迎えた民生委員のいま
東日本大震災であらためて役割評価
時代とともに民生委員の役割も薄れてきていると思われがちですが、その役割は見直されつつあります。その機運が高まったのは、2011年に起きた東日本大震災がきっかけでした。 東日本大震災のような大規模災害では、行政自体も被災者になってしまいます。そのため、高齢者や子供の避難・安否確認・生活支援までに手が回らなかったのです。 民生委員は日頃からの活動を通じて、地域住民と信頼関係を築いていました。それが災害時に役に立ったのです。東日本大震災を教訓にして、地方自治体は自力避難困難者を名簿化。行政・警察・消防・民生委員が情報を共有することで助け合いの仕組みも整えられました。 行政にとって頼もしくもあり、不可欠な存在とも言われる民生委員は、地域社会を支える縁の下の力持ちとして活躍しています。日々、私たちが平穏に暮らすことができるのも民生委員が人知れずに汗をかいているからです。しかし、その仕事ぶりは多くの人に知られているとは言い難い状況です。制度発足100年を機に、改めて民生委員の仕事や役割を知るのもいいでしょう。 小川裕夫=フリーランスライター