懇親会を断って、ひとりで飲みに行くのが楽しいのだ 飲み屋さんのお土産おにぎりで朝弁当
こうして静かにゆっくり飲んでじんわり酔いながら地方の夜が更けていく。最高だ。
もう一杯飲んで帰ろうかな、というころ、お母さんが、
「今日はこちらに、取材か何かですか?」
と言われた。「え?」。顔バレしていた。いつから?「店に入ってきた時から。すぐわかりましたよぉ」。いやぁ、まいったな。眼鏡も外してて帽子も違ったんだけどなー。テレくさい。
しかたない、その一杯を飲んで記念写真を撮ってお勘定した。そしたらお母さんが、
「これ、お夜食にでも、明日の朝ごはんにでも食べてください」
と、いつの間にかおにぎりを作ってパックに入れておいてくれた。自家製のお新香とたくわんと。ありがたい!
翌朝、宿の眺めのいいテラスで食べた。酒から時間差があるけど、これもまたベント酒だと思う。焼き鮭のおにぎり、とびきりうまかった。
(マンガ家、ミュージシャン・久住昌之)