日通など、海コン鉄道輸送開始。横浜港から。日産の輸入部品
日本通運と神奈川臨海鉄道は16日、日産自動車の輸入部品のトラック輸送を一部鉄道輸送に切り替えるモーダルシフトを開始した。横浜港で荷揚げされた40フィート型の海上コンテナを栃木県にある日産の工場まで鉄道輸送する。深刻な輸送力不足が懸念される物流の「2024年問題」に対応し輸送効率を向上するとともに、脱炭素化に取り組む。
日通と神奈川臨海鉄道が日産向けに輸出入海上コンテナを鉄道輸送するのは初めて。
中国などから輸入された、電気自動車「日産アリア」の生産部品などを運ぶ。鉄道輸送区間は横浜本牧駅から宇都宮貨物ターミナル駅までの約143キロメートル。1日当たり40フィートコンテナ2本を週5日輸送する。
大量輸送の可能な鉄道輸送で海上コンテナを直接輸送し、物流の生産性の向上とドライバーなどの労働環境改善につなげる。モーダルシフト化率をゼロから50%に引き上げ、年間CO2(二酸化炭素)排出量の82%に相当する140トンの削減を見込む。
オペレーション上の課題や天災などの影響を踏まえながら、来年度以降は輸送コンテナ本数の拡大を目指す。
日産は輸入部品の物量増加に伴い国内の輸送方法を見直し、鉄道輸送の利用を決めた。サプライチェーンマネジメント本部日本物流部の高草誠部長は16日、横浜本牧駅で開かれた出発式で「今回の取り組みは物流業界の課題解決に寄与するだけでなく、カーボンニュートラルに貢献する大きな一歩につながる。今後もさまざまな輸送モードをバランス良く採用していく」と話した。
一般的に、港から内陸部への40フィートコンテナの輸送には貨物駅の設備やスペースの問題もあり、トレーラーが使われる。鉄道を利用するには12フィートコンテナに積み替える必要がある。
日通と神奈川臨海鉄道はこれに連携して対応を進め、JR貨物が3月に新設した横浜本牧駅―宇都宮貨物ターミナル駅間の海上コンテナ輸送ルートを活用することにした。