1500ccのFR車が300万円以下!? ダイハツ・テリオス最新モデルは5ナンバーサイズで3列シート7名乗車のコンパクトSUV!
日本車が大きなシェアを持つことで知られるインドネシアで、2024年7月18日~28日の期間、国際モーターショー「ガイキンド インドネシア国際オートショー2024(GIIAS2024)」開催された。会場を筆者が巡り、出会った日本には日本車たちを紹介したい。今回は懐かしの車名を受け継ぐSUV、ダイハツ・テリオスをピックアップ! REPORT:大音安弘(OHTO Yasuhiro) PHOTO:大音安弘(OHTO Yasuhiro)/DAIHATSUインドネシアはダイハツの重要な市場であり生産拠点 【画像】ダイハツがインドネシアで生産する現行「テリオス」はどんなクルマ? ダイハツの海外事業はインドネシアとマレーシアが主力となっており、いずれの国にも生産工場がある。特にインドネシアでは現地開発をおこなうため、同国初のテストコースを備えたR&Dセンターも併設されている。 実は、日本にもインドネシア製のモデルが導入されており、それが小型商用のバン&トラックシリーズ「グランマックス」だ。またダイハツの海外工場では、トヨタ向けに車両の提供も行うなど、ダイハツだけでなくトヨタとしても重要な拠点となっている。今回の主役は、インドネシアのご当地ダイハツ車のひとつである「テリオス」だ。 テリオスってどんなクルマ? さてテリオスといえば、日本でも初代が1997年には発売された小型SUVだ。軽自動車の弟分「テリオスキッド」もあり、いずれも手頃で4WDも選べることで人気を博したのは、皆さんもご存じの通り。 2006年に登場した2代目は「ビーゴ」を名乗ったが、海外ではテリオスの名を継承。驚くべきことに、ロングホイールベース仕様の3列7人乗り仕様まで存在した。日本では、2016年で販売を終了しているが、海外では、2018年に3代目となる現行型へと進化を遂げた。 2018年にデビューした3代目テリオスが2023年にマイナーチェンジ 3代目となったテリオスだが、そのビジュアルはかなり立派に。そのボディサイズは、全長4455mm×全幅1695mm×全高1705mmという大きさまで成長し、ホイールベースも、2685mmを確保している。トヨタ・カローラクロスよりひと回り小さい程度であり、日本ならば5ナンバーサイズに収まるものだ。 スタイリングは力強さを感じさせる王道的なSUVらしいものに仕上げている。ボディも肉厚で、タフな雰囲気を放つ。最低地上高も220mmを確保しているので、悪路にも強いつくりとなっている。2023年のマイナーチェンジを受けており、グリルを小型化し、よりスポーティな顔付きに進化している。 インテリアはオーソドックスなもので、フロアシフトの3列7人乗り仕様となる。シートレイアウトは2+3+2となり、2列目と3列目共に2分割可倒式シートを採用。ルーフ部にもエアコンの吹き出し口があり、後席の快適性も高そうだ。全車タッチスクリーンオーディオを装備し、上位グレードではスマホのワイヤレスチャージャーが標準化されるなど、今どきのアイテムもしっかりと押さえている。 パワートレインは全車共通となり、縦置きの自然吸気仕様の1.5L直列4気筒DOHCエンジンを搭載。最高出力104ps/6000rpm、最大トルク13.9kgm/4200rpmの実用スペックとなる。トランスミッションは5速MTと4速ATの選択が可能。エンジンスペックからすれば、街乗り中心以外ならばMTを選んだ方が良いかもしれない。サスペンションは、フロントがマクファーソンストラット式、リヤが5リンクリジット式とオーソドックスなものだ。 サイズこそ大きくなったが、テリオス系の伝統をしっかりと受け継いでいる。それはFRレイアウトだ。この手のSUVは、FFベースも当たり前となっているが、テリオスは後輪駆動車なのだ。ただし、歴代の日本仕様と大きく異なるのは4WDが非設定である点だ。 カスタムモデル「テリオス・グラファイト」がカッコイイ! ショーの目玉のひとつとして用意されたのが「テリオス・グラファイト」だ。最上位グレード「Rカスタム(4速AT)」をベースに、カスタマイズを加えたドレスアップ仕様である。 しかし、単なるパーツ装着車と侮ることなかれ。何とボディカラーはグレーメタリックとブラックグロスソリッドを組み合わせた専用ツートーンカラーを採用している。ちなみに、カタログモデルにツートーンカラーは非設定だ。 さらにフロントバンパー、ヘッドランプ、サイドモールには、レッドラインの加えることでスポーティさを表現した。これは最新ミニバン「セニア」でも取り入れられるスポーティな演出である。 足元は、ダークカラーの17インチホイールでワイルド感を演出しつつ、オールテレインタイヤを組み合わせることで、走破性も高めている。 インテリアでは、メタル製ペダルカバーの装着に加え、「グラファイト」のロゴ入りレザーシート仕様となるのが大きな特徴だ。テールゲートには、サイクルキャリアも装着されており、アウトドアでの活躍を予感させる。 カッコいいドレスアップ仕様が用意された背景には、テリオスの人気の高さがある。テリオスはインドネシアで最も売れているコンパクトSUVであり、2024年第1四半期のダイハツ車販売においてもトップ3にランクインしているほど。 日本円換算なら231万円~!? 最上位グレードでも300万円以下! 現地価格はエントリーグレード「X」のMT車が2億4155万ルピア(約231万円)~最上位グレード「R」のAT車が3億775万ルピア(約295万円)となっている。 この他にも、テリオスには姉妹車として、マレーシアのプロドゥアが製造する「アルズ」がある。インドネシアには非導入となるが、トヨタ向けの「ラッシュ」もアルズがベースとなるため、そこも差別化となっている。仕様や装備もあるものの、基本的な部分は共通だ。 今やSUVは必ずしもオフロードとは結びつかない存在となっているが、まだまだ未舗装路も多い新興国ではエントリークラスのSUVでもテリオスのようなワイルド系のモデルが多い。そのタフさこそ、新興国向けのSUVの魅力のひとつといえるのではないだろうか。
大音安弘