同い年の藤井八冠を“カド番”に追い込む…叡王戦の挑戦者・伊藤匠七段の素顔「タイトル戦を経るたび強く」
■叡王戦第2局で遂に初勝利 運命の第4局前に師匠「『やれよな』と思っているだけ」
棋王戦の挑戦失敗から3週間後、伊藤七段は叡王戦でも挑戦者になった。 伊藤七段: 前の二つの番勝負の時は、タイトル獲得に期する思いが強かったんですけど、過去の藤井叡王との中盤戦辺りの局面を、より深く重点的に振り返るということはしていました。 先に3勝すれば「叡王」のタイトル獲得。伊藤七段は第1局で敗れたが、第2局は課題としていた中盤で競り勝ち、藤井八冠に公式戦で初勝利を収めた。 伊藤七段: 勝てていなかったので、ひとつ結果が出たことはよかったです。 名古屋で迎えた第3局は、伊藤七段は不利な後手番。藤井八冠に得意の角換わりでペースを握られるが、難解な中盤戦を乗り切り逆転へ。 その後、藤井八冠が何度も罠をしかけるが、冷静に対応する。そして伊藤七段が勝利。藤井八冠はタイトル戦で、初めて先にカド番に追い込まれた。 藤井八冠: まあカド番にはなってしまいましたが、やることは変わらないので、第4局もまた、しっかり準備して頑張りたいと思います。 伊藤七段: 本局は課題が残る内容だったと思うので、しっかり振り返って臨みたいと思います。 伊藤七段の師匠・宮田八段は…。 宮田八段: (藤井八冠に)勝ったのが初めてでしたからね、2連勝というのはちょっとびっくりしましたけどもね。ちょっとずつ伊藤が藤井さんに近づいてきている感じだと思うんですけどもね。自分なりの中終盤という感じがしますね。 叡王の獲得まで、あと1勝。宮田八段に、勝った際のお祝いについて聞いてみた。 宮田八段: プレゼント、家宝にした方がいいような将棋盤もあるのですけれどもね、それは(渡す)可能性あります。 宮田八段の師匠の師匠、金易二郎(こん・やすじろう)名誉九段が揮毫した、貴重な将棋盤だ。 宮田八段: 将棋頑張るのは名声、お金が出てくるんじゃないんです、彼らは。本当に将棋好きなんですよね。ドキドキドキドキするだけです。「頑張れよな」と思っているだけ。この手が良い手悪い手なんて見ていないです。それよりも「やれよな」と思っているだけ。 しかし第4局は藤井八冠が勝って2勝2敗とし、タイトル争いは第5局に持ち込まれることになった。 伊藤七段のタイトル初獲得か藤井八冠の防衛か、運命の第5局は6月20日、山梨県甲府市の「常盤ホテル」で行われる。 (東海テレビ)