ブリッジウォーター、顧客の不満に応えられるか-事業好転の試金石に
(ブルームバーグ): 創業者レイ・ダリオ氏が1年半前に経営権を譲り渡し、世代交代が行われた世界最大のヘッジファンド運営会社ブリッジウォーター・アソシエーツは、過去数年の低調なリターンを巡る投資家の不満に直面している。
ニル・バーディー最高経営責任者(CEO)は、かつて業界トップの運用成績を上げながら、現在は競合に後れを取っている旗艦ファンド「ピュア・アルファ」をてこ入れする必要がある。それはファンドの縮小や経費削減、ベテランの解雇や他のスタッフの昇進に加え、同社の強みとも顕著な弱点ともされるカルチャーの刷新を意味する。
共同CEOから単独のCEOになったバーディー氏は経営改革を推進し、変革の遅れを指摘していた同社幹部の多くからは称賛の声が聞かれた。事情に詳しい複数の関係者によれば、ピュア・アルファの昨年の年間リターンは1991年の設定以来最悪レベルの落ち込みとなった後、今年はこれまでのところ約16%のプラスとなっている。
しかし、転換のプロセスは波乱含みで、匿名で語った投資家の一部は2023年のマイナスのリターンをはじめとする過去の低調な成績に不満を抱き、パフォーマンスが再び落ち込むことがあれば、同ファンドを見限ることも検討中だとしている。
ヘッジファンド運営会社は総じて創業者の引退後、過去の成功に導いたアプローチをどの程度厳密に堅持するかを含め、新たな体制づくりに取り組むことになる。極めて強い自我の持ち主の多い業界にあっても傑出した存在であるダイオ氏とブリッジウォーターの場合、この課題は特に顕著だ。
資産家のダリオ氏(74)はリンクトインへの長文の投稿やベストセラーとなった書籍で人生や仕事に関する「原則」への信奉を表明し、「徹底的な透明性」と呼ばれる厳格な経営哲学を説いたことで知られる。
ブリッジウォーターは移行のプロセスとパフォーマンスについてコメントを控えた。過去4年間の再編に関する詳細は、同社の事情に詳しい関係者10人のインタビューに基づいている。