《芸能界から介護職に転職》「ミスマガジン2003」同期の岩佐真悠子さん&西田美歩さん「介護職は笑顔になってもらう仕事」「家事スキルも上がり、若くいられる」
“手伝いすぎない”サポートで人生を豊かに
岩佐:私は介護の仕事で利用者さんのお世話をしているという感覚は全然なくて、日常のちょっとしたお手伝いをさせてもらっているような気持ちなんです。「申し訳ない」と言う利用者さんもいるけれど、させてもらってありがとうございますと思っています。お給料もいただいてますし(笑い)、西田が言うように、一緒に時間を共有することで、楽しいことを教わる機会もたくさんありますしね。 西田:私たちがお手伝いさせていただくことで、利用者のみなさんが少しでも好きなことができて、人生が豊かになることにつながればいいなと思うんです。ちょっと体が動きにくくなると、生きがいややる気がだんだんとなくなって、暗いことばかり考える人も多い。だからこそ、たとえば野球観戦が好きな人だったら、また行けるようになるまでにグッズを買ったり、リハビリを頑張ったりと、人生を最後まで楽しく過ごしていただけるようにサポートさせていただく、とてもいい仕事だなと感じます。 岩佐:お手伝いも、やりすぎないことが大切なんですよね。たとえば、手先が動きにくくなって服のボタンがつけにくいとしても、全部介護士がするのではなくて、半分は自分でやってみましょうとか。利用者さんは時間をかければできるのに、甘えてしまってやらなくなると、さらにできなくなってしまう。 西田:私もやりすぎないことには気をつけています。本人のやる気や、今やってみようと思った気持ちを失ってしまうし、実際にやればリハビリになるのに、ということも多いんですよね。手伝いすぎないことも大事だなと感じます。 岩佐:施設にいると「家に帰りたい」とおっしゃる利用者さんもいます。介護業界では“不穏”(落ち着きがなく興奮状態になったり、急に攻撃的になったりする状態)と言いますが、そうなってしまうのは、介護にあたっている職員が忙しくてピリピリしているときが多いように感じています。
“責任逃れ”の介護用語もやさしい言葉に変えたい
西田:私、介護士になってからより明るくなりました。介護士や職場の空気が明るいと、利用者さんに伝わるし、逆もしかりなんですよね。タレントのときは、テレビの前の視聴者にちゃんと伝えられているかなと不安でネガティブになったこともありましたけど、介護士になってからは利用者さんのプラスの面を引き出そうとポジティブに考えるようになったんです。 岩佐:もともと明るい性格なのに、これ以上明るくなって、どこに行くの?(笑い)。でも、そもそも“不穏”や“徘徊”などの介護用語もなんだかよくない気がしますよね。徘徊なんて言わず、散歩程度のやさしい言葉でいいのにと思います。 西田:私はまず不穏にさせてしまっている、徘徊させてしまっていると思っちゃう。けれど、介護者の中にはなんだか都合のいい言葉で「徘徊してるね」と責任を逃れているように感じるんですよね。私たちは徘徊しないように、その人のために何ができるんだろうと考えることが必要ですし、「歩き出すの減ったよね」とプラスな方向の言葉づかいになったらいいなと思います。 岩佐:当たり前に浸透しているので、なかなか変えるのは難しいかもしれないけれど、介護士同士が話している時くらいは、違う言葉に置き換えられるといいなと思うんですよね。 ◆岩佐真悠子 元俳優・現介護職員。2020年に芸能界を引退し、現在は介護士として活躍中。 ◆西田美歩介護タレント。現在、リハビリ型デイサービスと訪問介護の施設で働きながら、介護タレントとして介護の魅力を日々、自身のSNSで発信している。元めざましテレビリポーター 。 取材・文/イワイユウ
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