【国交省立ち入り検査】ヤマハ発動機 社員ら動揺、取引先「襟を正して」
自動車や二輪車の大量生産に必要な「型式指定」の認証試験で不正があったとして5日、磐田市の本社で国土交通省の立ち入り検査が始まったヤマハ発動機。企業イメージを損ないかねない事態に、社員ら関係者に動揺が広がった。「大手メーカーとしていま一度襟を正してほしい」。取引先企業からも厳しい視線が注がれた。 同日朝、本社新館北側の門に報道陣約20人が集まる中、従業員が続々と出社した。「立ち入り検査があるとは知らなかった」。若手の男性従業員は驚きの表情を浮かべ、「責任を持って業務に当たらなければと改めて思う」と強調した。 ヤマハ発によると、騒音試験で不正があった大型バイク「YZF―R1」は、5月10日から国内向けの出荷を停止したが、より需要の大きい輸出用の生産を本社工場で続けている。子会社の50代男性社員は「自分もバイクに乗るので、今回の問題でユーザーの信頼が揺らぐのは理解できる」とし、「信頼ある製品作りに協力していきたい」と気を引き締めた。 ヤマハ発は2018年に排ガス測定で不正検査が発覚した際にも国交省の立ち入り検査を受けた。県西部の下請け企業を経営する60代男性は「下請けでも品質保証のための検査や試験は厳密に行っているのに、完成車メーカーが規定されたプロセスを変えてしまうのはいかがなものか」と苦言を呈し、「ブランドイメージが悪くなると一番困るのは販売店だ」と心配した。 ヤマハ発のバイクに約10年間乗り続けている袋井市の男性(30)は「自動車よりも安全性に気を使う乗り物なので最初は心配になったが、そこは問題ないと聞いてほっとした。改めて徹底してほしい。安全面に関わる不正が新たに出ないことを信じながら、立ち入り検査の動きを注視したい」と話した。
静岡新聞社