海外で成功するにはファンダメンタルとメンタルが重要! 日本とオーストラリアのゴルフの違いをブラッド・ケネディのコーチが語った
日本ツアー参戦13年で、通算3勝のブラッド・ケネディ。来年はシニアツアーに参戦できる50歳になるベテランだが、今季も日本オープン3位タイなどトップ10入りは3回で賞金ランク25位と見事に賞金シードを獲得している。そんなケネディのコーチであるマイケル・ジョーンズ氏(文中ではMJ)にオーストラリアと日本のゴルフ環境やレッスンの違いを聞いた。【後編】
オーストラリアでは若くて上手い人にはエキスパートだけが教える
GD それって日本では遅れている分野だと思うんですが。 MJ そうですね。日本ではまだスウィング、メンタル、マネジメントなど全て一人で面倒を見ているケースが多いですね。日本のプロも世界のツアーに出ていますが、まだまだ英語が喋れない人が多い。仕事で世界に行くなら最低限英語は必要になるので、これはクリアしないといけないでしょうね。ツアープロはみんな英語ができますから。そういう意味でもプロはビジネスマンなわけです。 GD やはり日本のやり方では限界がある? MJ 一人のコーチが全部を見ると心配することしかできない分野が出てきます。その点スペシャリストが見れば、改善するための具体的な方策を与えることができる。私もオールマイティではないので手伝ってくれる人が必要。もちろんみんなライセンスを持っているエキスパートです。資格のない人がアドバイスするのは一番危ないですからね。オーストラリアでは若くて上手い人にはエキスパートだけが教えます。たぶんそこは日本と大きく違うと思う。ライセンスを持っている人じゃないと教えちゃいけない体制なんです。 GD 具体的にはマイケルさんはどんなことをするんですか? MJ そうですね……。たとえばシーズンオフはフィジカルトレーニングがすごく大事ですが、シーズン中は少しでよくて、むしろメンタル面のケアがすごく大事になりますが、そのあたりのバランスがとれているかを見る。もしアンバランスならエキスパートに伝えて具体的に対策をとってもらう、といった具合です。エキスパートのアドバイスはアバウトではないため、実践するのがキツくてプレーヤーと衝突することもよくありますが、そんな時に間に立って正しい方向にもっていくのも私の仕事。チームでいうなら監督みたいな役割ですね。 GD オーストラリアと日本でプロのレベルはどちらが高いですか? MJ オーストラリアのベストと日本のベストはたぶん一緒くらいです。層の厚みとなるとオーストラリアかな。 GD 日本のプロやコーチにアドバイスするとしたらどんなことでしょう? MJ プロが自分一人で考えるのは大変です。プレッシャーが多すぎるので、少しずつでもいいからエキスパートに頼ったほうがいい。そうするとストレスが減っていい方向に回っていきます。日本ツアー最年長シード選手のブラッド・ケネディ選手は有名なラグビーのメンタルトレーナーの指導を仰いでいます。コーチも一緒で、任せるところはエキスパートに任せたらいい。私も心理学者じゃないから、そこは任せている。みんなもっと楽になったほうがいいですよ。