「やりたいことはやっておく」…"オワコンの国"をいち早く脱出? 50代で夫婦でタイ移住の10年間
日本人とだけ交流し、日本食ばかり食べて暮らし…1~2年で帰国する人も
海外暮らしに憧れを抱いても、「資金は足りるのか」「語学もできないのに暮らせるのか」……とあれこれ迷い、行動を起こせないシニアは少なくない。行動力あふれる広瀬さんの活力の源泉はどこにあるのか。そう尋ねると、「自分勝手なだけではないですか?」と笑ったあと、こう続けた。 「あくまでも僕の考えですけど、日本人って“どういう自分が幸せなのか”を突き詰めて考えない人が多いと思うんです。自分が幸せかどうかは自分が決めることなのに、 人から“幸せだよね~”と羨ましがられる自分になることが幸せだと思っている人もいる(笑)。 僕は30~40代のときに、日本での暮らしに息苦しさを感じていたせいもあると思うのですが、自分の幸せはやりたいことをやることにあるのだとわかってきた。妻もまた、僕と過ごすうちに、同じように感じたのだと思います。ちなみに妻も大学は歴史学科。タイを好きになったのは僕より先でした」 最後に、本気で移住を考えている人たちへ、経験者から言えることを聞いた。 「考えているくらいなら来ちゃったほうが早い、と僕は思います(笑)。どれだけ経験者の話を聞いても、ネットで情報を検索したとしても、自分が経験することでしか実のところはわかりませんから。 とはいえ、移住先は慎重に決めたほうがいい。その国の文化や人を好きであることは絶対条件です。 タイは日本のシニア層に大人気で、チェンマイにも多くの日本人が暮らしています。でも、日本人とだけ交流し、日本食ばかり食べて暮らし、現地になじめず結局1~2年で帰国する人も少なくない。さほど好きでもない国を移住先に選ぶと、何か起きたときに、その国やその国に住む人に責任転嫁しがち。 好きな国なら踏ん張れるし、なぜうまくいかないのか、自分を省みることができます。なので、大好きな国を選んでほしいですね」 広瀬ガネッシュ 1961年東京都生まれ。’88年にタイのチェンマイを旅して一目惚れ、現役時代から毎年3~4回旅ベースで訪れ続けた後、’13年52歳でリタイアして移り住む。現在は周囲に外国人がほとんどいない郊外に一戸建ての住宅を借りノンビリ生活を楽しみつつ、時々タイ国内やアジア各国を旅する日々を過ごしている。 取材・文:辻啓子
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