天ぷら油を軽油に再資源化 “都市油田”へ官民の取り組み
商店街や大学で生まれた電気を活用
国は粗悪な燃料が流通することを未然に防止するため、品質確保法という法律を制定しています。品質確保法では、ガソリンは10%、ディーゼル燃料は5%までしかバイオ燃料を混合することができません。法律の規制が食用廃油を燃料として再資源化することを阻んでいるのです。 「自動車の燃料は品質確保法の規制があるので、多くの人が使用する環境にはなっていません。しかし、食用廃油は発電用の燃料に使うこともできます。TOKYO油田プロジェクトから派生して、全国各地でも町内会や大学単位で都市油田を活用するプロジェクトが立ち上がっています。そうした町内会や商店街、大学の都市油田で生み出された電気は、大学の学園祭で出店や商店街やイベントのイルミネーションの電力になっています」(染谷さん) 毎年4月に開催されるイベント「アースデイ東京」も食料廃油からつくられた燃料で電気を賄っています。 染谷さんが始めたTOKYO油田2017は、スタートから10年でプロジェクトを軌道に乗せようという思いが込められています。その間、東日本大震災などが起きました。エネルギーについて考える機会も増え、改めて省エネ・節電・リサイクルの重要性は増しています。 都市油田をうまく活かすことで、日本は世界屈指の油田大国に成長する可能性を秘めているといえるでしょう。 (小川裕夫=フリーランスライター)