今どきの大学写真部 「映え」の世界 活動が様変わり スマホOK、SNSも活用
スマートフォンで撮影OK、作品は交流サイト(SNS)でシェア―。大学の写真部の活動が様変わりしている。暗室にこもってフィルムを現像する本格派もいる一方、スマホで「SNS映(ば)えする写真を撮りたい」という部員も増えている。今どきの大学写真部をのぞいてみた。 【写真計5枚】広島市内6大学の合同写真展に出品した学生や作品の一部など
スマホと一眼レフ、両方を愛用
「カメラを手に取る動機がSNSという人は多い」と話すのは、広島工業大(広島市佐伯区)の写真部長、山崎煌太さん(20)。崇徳高(西区)の新聞部で報道写真の魅力に目覚めた山崎さんは「僕みたいな人は少数派なんです…」と明かす。 ピントや露出の調節が手動のマニュアルカメラが部室に並ぶ。黒板には「1年生はフィルムカメラです(白黒)。現像の作業は暗室で行います」と書いてある。実は本格派なのでは―と尋ねると、「カメラの仕組みを知ってもらうため」と山崎さん。2年生からはスマホで撮った写真も作品展に出せるという。 部員は約50人。1年佐野瑞樹さん(19)の趣味はサイクリングだ。「愛車のロードバイクをかっこよく写したい」と入部した。海や公園の芝生や木々を背景に、バイクを引き立てる構図で撮影。写真を個人のインスタに載せる。「中学生から年配まで、たくさんコメントが付くので励みになる」と反響を楽しむ。 2年小林未来(みく)さん(20)は、スマホと一眼レフの両方を愛用する。「夕日のように一瞬で表情を変える風景を撮る時は、素早く取り出せるスマホ。じっくり被写体に向き合うときは一眼レフ。それぞれに長所がある」という。
インスタやXで作品公開
多くの大学写真部がインスタやX(旧ツイッター)のアカウントを持ち、作品を公開する。島根大(松江市)の写真部は入試シーズンが始まったこの秋以降、学内の紅葉や松江城の堀を巡る遊覧船の写真を載せ、「#春から島大」のハッシュタグ付きで発信する。 広島市内で年1回開く大学写真部の合同展の開催を支援する広島ガス北部販売(東区)によると、写真展は2013年に広島経済大(安佐南区)と安田女子大(同)の2校で始まった。12回目となった本年度は参加が6校に増えた。 安田女子大の写真部は、部員募集のポスターで「スマホOK」とアピールする。3年根角春菜さん(20)は「作品展に出す写真とインスタは全然違う。ほどよい余白と背景のピントのぼかし具合が『インスタ映え』のポイント」と説明する。 根角さんと一緒に合同写真展に出品した3年西野遥さん(21)は、スイーツの写真をインスタに載せる。「奥行きや光の当たり具合…。カフェでスマホを構えて粘っていたら、一緒にいた友達にあきれられた」と表情を崩す。 記者がスマホで撮影した写真を2人に見てもらった。全体にピントが合っていて、人物やチラシの位置が隙間のない「ありのままを伝える」1枚だ。ただ、2人からは「要素を詰め込み過ぎ。説明し過ぎですね」と指摘された。報道写真とは違う「映え」の世界。勉強になります。
中国新聞社