なぜ山にむき出しの遺骨が?許可のない「自然葬」に住民が憤り "森のお墓"の実態に迫る
森のお墓でも「墓地には当たらない」 山の持ち主に取材
骨を自然に還す葬り方でも、慎重に進められる墓地の開設。なぜ、大台町の山では、遺骨が置かれるようになったのでしょうか。 山には樹木葬についての説明と思われる立て看板があり、そこには宗教法人の名前が記されています。登記簿などで確認したところ、山を所有し、管理しているのは「自然宗佛國寺」という宗教法人と判明。法人の代表を務める黙雷住職に取材を申し込みました。 2006年、住職は木材を使ったバイオマス発電などの事業を始めるために、過疎化が進むこの地域の山を購入。遺骨の受け入れは、事業費の一部をまかなうために始めたもので、永代供養なら1人21万円だといいます。 (自然宗佛國寺・黙雷住職) 「遺骨の下に土があって、自然に還る」 自然葬だという遺骨は、上から土をかぶせておらず、「埋められた」状態ではありません。住職は「森のお墓」と銘打って遺骨を受け入れていますが、「墓地にはあたらない」と強調します。 (自然宗佛國寺・黙雷住職) 「(墓地としての認識は)ないです。墓地埋葬法には、ひっかからない。申請は必要ないと三重県に言われた」 住職は、三重県の担当者(当時)から「遺骨が地表にみえている状態は"埋葬"ではなく、法律が禁止していない"散骨"にあたり、私有地に散骨をしているという解釈をすれば、墓地として許可申請の必要がない」と言われたと主張しています。 (自然宗佛國寺・黙雷住職) 「悪者扱いされている。裁判沙汰にするなら、受けて立つ」 三重県に確認すると、「20年近く前のことで、記録も残っていないため、そのようなやりとりがあったかの確認がとれない」といいます。 厚生労働省では、あくまでも一般論としながらも、「遺骨が土に埋まっていなければ墓地ではない」との見解でした。つまり、熊野市の施設は、遺骨を埋めているから墓地。一方、大台町の山は、埋めていないから墓地ではないと解釈できます。