「常識をブチ破れ、生きる力を目覚めさせよ!」…破天荒な学者が「悪魔の顔」を選んだ「驚きの理由」
ヤンチャに考える
誤解を招いてはいけないから言っておくが、私みたいな者が典型的な法哲学者だと絶対思わないでいただきたい。世界や日本には天使のような、真剣に法学や国家社会をよくしようと考えている法哲学者がごまんといる。学者の数だけ法哲学のヴァリエーションがあるといわれているが、そのなかで私の法哲学は「悪ガキ風」である。 だが、常に権威や社会常識に悪ガキのような疑問を持って逆らっていく気持ちはとても大事だと思う。とくに日本人は生真面目で常識を疑わず、考えもせずにルールに従い、体制に逆らわないところがあるから、もうすこしみんなヤンチャな思考になってもいいのではないだろうか。 だから、「こんな考え方やものの見方もあるのか!」と知っていただけるだけでも意味はあるのではないか、と思っている。思考を鍛錬するうえで、法哲学は非常に有効な学問だ。 私はいい加減な人間だが、本は真面目に書いた。だが、私は教科書というものが大嫌いだから、そのつもりで書いたわけではない。いつも学生相手に行っている青山学院大学法学部での講義をベースにして書いている。 講義ではテーマについて多様な考え方を示すが、最終的な答えは出さず(そもそも哲学に答えはない)、常識を揺さぶる問いを提起して学生自身の思考を刺激するように心がけており、本書もそのように書いている。だから、皆さんも気楽に読み進めながらいろいろ考えていただきたい。 本書は、まずは法律を守るのが大好きな善良な市民の皆さんに、法律に対する懐疑心を持っていただきたいというところから始まる。そこから、法哲学の伝統的な諸論点(正義、法と道徳など)を語ったうえで、現代的な諸問題も取り上げながら、最後には自由さえも疑うという展開になっている。極端な例(でも現代社会で実際に起こったケース)も挙げているので、あなたの常識は相当に揺さぶられるだろう。 とはいえ、皆さんの気の向くままにどの章から読んでいただいても構わないように書いている。お暇な時に寝転がって、ビールでも飲みながら気楽に読んで、囚われのない思考と心であれこれ考えることを楽しんでいただければ本望だ。 さらに連載記事<海外のカジノで賭博をしても捕まらないのに、日本だと逮捕される「驚愕の理由」>では、私たちの常識を根本から疑う方法を解説しています。ぜひご覧ください。
住吉 雅美