卒業記念レースは無念の落車も「先行でグランプリを獲る」偉大な父を誇りに飛び立つ19歳の2世レーサー/未来の競輪スター候補
今年デビューする第125回生(男子)と第126回生(女子)の卒業式が8日、伊豆市の日本競輪選手養成所で行われた。その卒業式前日、忙しいスケジュールの合間を縫って4名の候補生たちが取材に応じてくれた。今回はタイトルホルダー山崎芳仁を父に持つサラブレッド・山崎歩夢のインタビューをお届けする。(取材・構成 netkeirin編集部)
養成所で強くなったのはメンタル
ーー卒業記念レースは残念ながら予選1回戦で落車してしまいました。振り返ってみていかがですか? 山崎 今回は「先行して優勝する」と目標を立ててレースに臨んでいました。その中で落車という結果になってしまい残念です。でもまたひとつ競輪のレース中の動きを知れたというか、どういう場面で落車の危険があるのか身を持って学べたのは良い経験になりました。 ーー悔しさもあったと思います。 山崎 はい。でもいつまでも考えても仕方がないので切り替えています。もう今はルーキーシリーズを見据えていて、そこに向けて頑張っていきたい一心です。 ーーまだ体の痛む中、インタビューに応じていただき本当にありがとうございます。 山崎 こちらこそありがとうございます。体の痛みは大丈夫です! ーーそれではお話を聞かせてください。入所時と現時点を比べて成長できたポイントを教えてください。 山崎 入所時と比べて良くなったと一番実感するのはメンタル面です。タイムが出なくて悩んでいた時期があったのですが、その時期はとても苦しかったです。でもその時期を乗り越えて、ゴールデンキャップも獲れましたし、第2回トーナメント競走でも優勝することができました。心が折れなくなったこと、メンタルが強くなったことが結果を出せた要因かなと思います。 ーー養成所生活の中で印象に残っている言葉、あるいは考え方に出会うことはありましたか。 山崎 言葉ではないのですが、高校の頃から同じ種目で走ってきた中石湊候補生と養成所で過ごす中で、中石君の意識の高さというか「競輪と向き合う姿勢」を肌で感じました。入所時は僕よりも中石君の方が自転車に対して深く考えていたように思います。そういう姿勢を近くで見ることで、僕自身の成長の材料にすることができました。 ーーなるほど。競輪や自転車に対する意識がレベルアップしたのですね。 山崎 はい、実感しています。 ーー養成所生活で「一番の思い出」を挙げるとしたら、どんなエピソードが思い浮かびますか? 山崎 第2回トーナメント競走を優勝したことです。自分なりに自分ができる練習をして臨みましたが、いざ本番になると運も関係するのが競輪だと思います。そういう面で不安もありましたが、自信を持って積極的に動くことができました。その結果が最高のものになりましたから、養成所生活の中で1番うれしかった出来事になりました。