日本語教育の支援強化 外国人児童生徒に対応 茨城県教委 常総市に支援員配置
茨城県教育委員会は、公立小中学校に通う外国人児童生徒への日本語教育の支援強化を推進する。2024年度から、ブラジル人が多く住む同県常総市をモデル市とし、市内の小中学校にポルトガル語が話せる支援員を計8人配置し、日本語指導を行っている。支援を通じ、増加する外国人児童生徒への支援の在り方も探っている。 支援事業では、支援員を市立水海道小に4人、同水海道中に2人、同水海道西中と同豊岡小に1人ずつ配置。日本人の教員と支援員がペアになり、児童生徒の習熟度に応じて日本語指導を行う。基本的に小学校では2時間、中学校では3時間、毎日実施する。 日本語指導のほか、水海道西中と豊岡小では、日本人の教員と支援員が月に1、2回ほどブラジル人学校を訪問し、交流や訪問指導を行っている。 同市水海道天満町の水海道小では、ブラジル人をはじめとした外国人児童が全校生徒の約2割に当たる約100人に上る。 同校ではこれまで、市教委が外国人児童の支援員2人を配置していたが、保護者へ配布する資料をポルトガル語に訳したり、保護者面談で補助を行ったり、多様な業務に追われていた。本年度から新事業により支援員が増えたことで、授業のサポートに集中できる体制が一層整ったという。 支援員の一人は、同市の公立小中学校にブラジル人の入学が増えている理由について、「ブラジル人学校の授業料が高くなってきている」と指摘した。サポートの必要な児童生徒が増える中、新事業は支援員の側にとっても利点があると説明した。 水海道小で日本語指導を受けている4年生のアベ・カウアンさん(9)は「日本語の授業は楽しい。勉強して将来は日本でシェフになりたい」と夢を語った。 同市水海道の住基人口は10月1日時点で3万7325人。うち外国人は3558人に上り、約10人に1人が外国人となっている。 県教委によると、県内の外国人児童生徒数は年々増加しており、本年度は4千人超。そのうち日本語支援が必要な児童生徒数は1862人で、この10年で約2倍になった。外国人児童生徒日本語教育支援連絡会が9月に同市内で開かれ、取り組み事例を共有した。 県教委の担当者は「外国人児童生徒が日本語を理解し、自分の考えや気持ちを表現して学校生活が楽しくなるよう支援していく」と強調した。
茨城新聞社