フランス格付け「AA-」据え置き、予算案で特例条項適用も-S&P
(ブルームバーグ): S&Pグローバル・レーティングは29日、フランスの長短外貨建ておよび自国通貨建てソブリン債格付けを「AA-/A-1+」に据え置いたと発表した。格付け見通しは引き続き「安定的」とした。
少数与党政権であるバルニエ内閣は、2025年度政府予算案の可決と政権維持に向け、譲歩を迫る野党側と厳しい駆け引きを強いられているが、S&Pが現行の格付けを確認したことで、ささやかな猶予を得た格好だ。
フランスの外貨建て長期格付け「AA-」はジャンク(投機的格付け)を7段階上回り、チェコやスロベニアと同等となる。
S&Pはフランスの25年度予算を巡る状況について、国民議会(下院)が政府予算案を承認しておらず、少数与党政府は、議会の採決を経ずに法案を成立させる憲法49条3項の特例条項を用いる可能性が高まったと分析した。
フランス政府が巨額の財政赤字を削減できなかったり、経済成長率が長期にわたりS&Pの予測を下回ったりする場合には、格付けを引き下げる可能性に言及した。
その一方で、政治不安にもかかわらず、フランス経済は底堅いとの認識を示し、欧州連合(EU)加盟国であることや経済協力開発機構(OECD)有数の民間貯蓄率、労働市場改革の好影響に加え、輸出も引き続き明るい材料だと指摘した。
原題:S&P Sticks With France Rating in Reprieve for Premier Barnier(抜粋)
--取材協力:Alice Gledhill.
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William Horobin