去年は“申告漏れ発覚”のインフルエンサー9人に「合計8,500万円」もの追徴課税…「収益化している人」が税務署にバレるワケ【税理士が解説】
今年も確定申告のシーズンが到来しました。SNS等での「収益化」が身近になり、収入源が増えた方も少なくないでしょう。SNSなどのインターネットで得た収益も確定申告の対象です。収益化をしている人は、どのような場合に申告の義務が生じるのか。税務署はどのようにして無申告の人を見つけ、どのようなペナルティを課すのか。税理士法人松本が、近年のニュースを振り返りながら解説します。
去年はインフルエンサー9人に「合計8,500万円」もの追徴課税
インフルエンサー9人が東京国税局の税務調査を受け、その結果、合計3億円もの申告漏れが指摘された…これは2023年3月に報じられたニュースです。このニュースの概要を確認してみましょう。 ■インフルエンサーの報酬の仕組み インフルエンサーは、SNS上で多数のフォロワーを持ち、大きな影響力を持つ人です。インフルエンサーがSNSで紹介した商品は、フォロワーの目に留まり、購買活動につながります。そのため、多くの企業がインフルエンサーを活用した宣伝活動を始めるようになりました。 インフルエンサーは、ほとんどの場合、直接的に企業と契約をするのではなく、広告代理店を通じて宣伝業務を請け負います。代理店経由で紹介された商品やサービスを所有するSNSで紹介すると、フォロワー数などに応じて報酬を受け取ることができるというわけです。 ■税務調査でインフルエンサーの申告漏れが多数発覚 東京国税局では、インフルエンサーを対象に税務調査を行ったところ、そもそも確定申告をしていなかったケースや報酬の一部を申告していなかったケースが発覚しました。中には、SNSの宣伝活動で得た報酬を海外のペーパーカンパニーの収入のように装っているケースもあったようです。 ■インフルエンサーに課された追徴税額は合計8,500万円ほどに 税務調査によって確定申告を正しく行っていないことが発覚し、納税額が不足していた場合には、不足分の税額を納めなければなりません。さらに、確定申告をしていなかった場合には無申告加算税、所得を低く申告していた場合には過少申告加算税、納税が遅れたことに対して課せられる延滞税などの加算税の支払いも必要となります。インフルエンサー9人に対して課せられた追徴税額は、合計すると8,500万円程度に上るとされています。