全米シニアオープン、藤田寛之に勝ったブランドも『遅咲き』 ツアー初勝利は48歳【武川玲子コラム】
悪天候のため月曜(1日)フィニッシュとなったシニアのメジャー、全米シニアオープン選手権(米ロードアイランド州)。初日からトップを走っていた藤田寛之のメジャー制覇はわずかに届かなかった。 月曜は3打リードで残り8ホール。しかし風向きが変わり流れも変わった。最終的にはリチャード・ブランド(英国)とのプレーオフ、4ホール目で力尽きた。「良いプレーができたと思うが、トロフィーを日本に持って帰りたかった」と落ち着いた表情ながらも悔しさをにじませた。 勝利したブランドは51歳。年齢を重ねるにつれて強くなったのは藤田と同じで、いわゆる「遅咲き」と呼ばれる。23歳でプロ転向し、下部ツアーを経て欧州ツアーで戦ってきた。ツアー初勝利を挙げたのはわずか3年前、48歳の時で実に欧州ツアーの478試合目だったという。が、その翌年の2022年からはサウジアラビアの政府系ファンドが支援する高額賞金の「LIVゴルフ」で戦っている。 50歳になっていた昨年のこの大会は欧州ツアーの勝者として本来は出場資格を得るはずだったが、LIVに参戦するために発生していた欧州ツアーへの罰金が未払い。そのため出場が認められなかった。が、今年5月に出場した全米プロシニア選手権でメジャー初制覇。その勝利で全米シニアオープン選手権にも出場、「メジャー2連勝」を達成した。 「まさか勝てるとは思っていなかった。全米シニアプロではここで戦えるだけの実力があるかさえ不安だった。シニアで2連勝、それがメジャーとは…。言葉にできない」と感無量だった。 しかしながらLIVで戦うブランドはPGAツアーのシニアツアー「PGAツアー・チャンピオンズ」に参戦することはできない。先の全米オープン選手権を制したブライソン・デシャンボー(米国)も同じ。現行の規則ではPGAツアーは戦えない。昨年6月に「統合」の枠組みが電撃発表されてから1年。いまだ見通しが立っていないが選手たちの垣根は少しずつなくなっているようだ。 (全米ゴルフ記者協会会員) (写真はAP)
中日スポーツ