筋肉が1キロ増えるだけで、脂肪が年2~2.5キロ減る可能性も さらに有酸素運動もプラスすると効果倍増
基礎代謝は筋肉による影響が大きい
人が日常生活で消費するエネルギーは、かなり動く人でも1日トータルで2500キロカロリー程度。そのうち体を動かすことで消費する割合は40%ほど(あまり活動しない人は30%ほど)です。 活動せずに消費される60~70%のエネルギーは何かと言うと、これはいわゆる「基礎代謝」というカテゴリー。基礎代謝が大きく落ちるとエネルギー収支がプラスに傾き、その貯金分が脂肪になってしまうので、ダイエットにも多大な影響を及ぼします。しかも、ごく普通の生活をしているかぎり、エネルギー消費の度合いは「基礎代謝>体を使った活動」なのです。 その基礎代謝は、高齢になるほど落ちていきます。極端に落ちるわけではありませんが、1日50キロカロリーほどの落ち方でも、365日なら約18000キロカロリー。その積み重ねは馬鹿にできるものではありません。 こうした考え方が研究者や一部のトレーナーなどの間で認識されはじめたのが1980年代でした。 では、基礎代謝は何で決まるかというと、じつは筋肉による影響が大きいのです。 筋肉が何もせずじっとしている時、筋肉組織1㎏あたりの1日の代謝量は、およそ20キロカロリー。仮に筋肉が2㎏減ったとすると、1日のエネルギー消費が40キロカロリー減り、それが1年続けば約15000キロカロリー。そのぶんが脂肪に化けると約2㎏に相当します。つまり、筋肉が2㎏減ると、1年後には脂肪が2㎏増える可能性があるわけです。 逆にトレーニングなどで積極的に筋肉量を増やした場合には、基礎代謝量はどのくらい変わるのでしょうか。 これについてもたくさんの研究があり、信頼性の高いもの、低いものも含めて様々ですが、現在のところ「筋肉が1㎏増えると1日あたり50キロカロリー増える」という考え方が研究分野での基準になっています。上の 20 キロカロリーと値が異なるのは、運動による交感神経の活性化などの効果が上乗せされるからだと考えられます。 筋肉1㎏程度なら、しっかり筋トレをすれば誰でも増やせます。仮に食生活をまったく変えなくても、それだけで1日50キロカロリー、1年間で18000キロカロリーのエネルギー消費が増え、脂肪が2~2.5㎏減る計算になります。 ということで、ダイエットをするなら、脂肪を減らすとともに筋肉を増やすべき。有酸素運動だけだと脂肪が落ちるのと同時に筋肉も落ちかねませんが、筋トレをしながら有酸素運動を行なうと効果は倍増。そうした認識がトレーニング現場に浸透しはじめたのは1990年代後半くらいのことでした。