【南井克巳元調教師 豪腕の視点】JRA・G1初制覇の岩田望はこれからの騎乗ぶり楽しみ
「阪神JF・G1」(8日、京都) 5番人気のアルマヴェローチェが直線で力強く差し切って重賞初制覇。見事に2歳女王の座に輝いた。鞍上の岩田望来騎手(24)=栗東・フリー=はJRA・G1騎乗61度目で待望の初勝利。2着には8番人気のビップデイジー、3着には7番人気のテリオスララが入り、3連単22万7500円の波乱の結果となった。1番人気のブラウンラチェットは16着に終わった。 ◇ ◇ ある程度、ペースが流れたなかで、勝ったアルマヴェローチェは中団でしっかりと脚をためて、直線はいい所に出してスムーズなレースができていたね。岩田(望)君は、これがJRA・G1初制覇ということだけど、もともと勉強熱心で腕のあるジョッキーだから。僕も騎手時代そうだったけど、G1を勝つことでひと皮むけるというか、自信がついてレースに臨む心持ちが変わってくる。これからの彼の騎乗ぶりが楽しみだね。 2着のビップデイジーは、前走で京都を経験していたし、幸君も持ち味をしっかり引き出していた。2着に負けはしたけど、力は示したね。あと、僕が能力があると感じたのはショウナンザナドゥ。中団、後方勢が上位に入る流れで、好位から4角で先頭をうかがうようなレースをして4着に踏ん張ったからね。来年が楽しみな馬だと思う。 1番人気のブラウンラチェットは数字が示す通り、体が細く感じたね。この時期の2歳牝馬は難しいから。これがこの馬の力じゃないと思う。同じことが外国馬のメイデイレディにも言えるんじゃないかな。異国の地に来て、ペースも全く違う日本の競馬で、スタートを決めて流れに乗っていたからね。体も数字以上に大きく見せていたし、結果は出なかったけど、いい馬だと思ったね。 いずれにしろ、この世代の牝馬路線は混戦。これから来年に向けて各馬どんな成長を見せるのかによって、勢力図は変わってくると思うよ。(元JRA調教師)