米誌「安倍家三代との関係は旧統一教会と文鮮明にとって“誇り”だった」
「祝福2世」との対面
日本で話を聞いた旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の信者はいずれも明るく、その率直さに驚いたが、彼らは違う世界に生きているという印象を受けた。 【画像】米誌「安倍家三代との関係は旧統一教会と文鮮明にとって“誇り”だった」 そのうちのひとりである小嶌希晶 (こじま・きあき)と名乗る20代の女性は、教団が「祝福2世」(合同結婚式で出会った信者の間に生まれた子供)と呼ぶ現役信者だ。 小嶌とは東京のオフィスビルの、商談向けに時間貸しされている家具付きの小部屋で会った。部屋には番号が振られてコードロックされ、長い廊下にドアがずらりと並ぶ様子は清潔な刑務所のようだった。 小嶌の母親も、山上の母親と同じく1億円を教団に献金したという。そのため貧しい子供時代を送り、質素な食事とお下がりを着て、大学進学の選択肢も限られていた。子供の頃の小嶌はごく一時期、自身の身の上に降りかかった窮乏を恨んだが、その後に受け入れたという。 旧統一教会が選んだ夫も受け入れた。夫はフィリピン人男性で、一度も会わないまま、2021年にオンライン上で結婚した(その後2人は実際に対面したが、相手はいまも日本に移住してはいない)。 新郎から3000キロ以上も離れた日本の教会でブライダルドレスを着て結婚式に臨んだ彼女は、身を乗り出してノートパソコンの画面越しに新郎とキスしようとしたと実演してみせた。その目には照れくささが浮かんでいるように思えた。 小嶌の口ぶりは、こうした結婚式が第三者には奇異に感じられるとわかっているかのようだった。それでも、「自分は教団のなかで育ち、教団に愛されていると感じている」と語る。
運命を変えた「高尾山登山」
安倍と旧統一教会の関係は、政治家として踏んではならない「地雷」だったように思える。山口広ら弁護士グループは、自民党をはじめとする政党所属議員に対し、旧統一教会との関係を断ち切るよう訴える書簡を何年も前から送り続けていた。 教団との関係の危険性については、安倍本人も認識していたのかもしれない。
Robert F. Worth