オプション売り、トレーダーに広がる-S&P500種レンジ取引の要因
(ブルームバーグ): 通常リスクテイカーの戦略であるオプション売りが突然、バイ・アンド・ホールド戦略よりも魅力的に見えてきた。多くのトレーダーがオプション売りに参加することで、米国株は狭いレンジでの取引になっている。
プットとコールの両方を売るこの戦略は、両方の契約が同じ権利行使価格であればストラドル、コールとプットが異なる水準であればストラングルと呼ばれる。長期的に見れば、この取引は株価の上昇や下落によって売り手に大きな損失を負わせる可能性があるが、短期的にはS&P500種株価指数を狭い範囲に固定し、その結果この戦略が奏功するという自己強化的なフィードバックループを生み出している。
S&P500種はテクノロジー大手にけん引されて株価が記録的な上昇を遂げる中、300営業日以上にわたり2%以上下落した日がない。
ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナルのクロスアセットストラテジスト、チャーリー・マケリゴット氏は、「顧客の間でアット・ザ・マネーのボラティリティー売りがまん延している」と述べた。
超短期オプションの売りは今に始まったことではない。トレーダーは株式のロングポジションと同時にコールオプションを売ることで、大きな上昇を逃す可能性はあるもののプレミアムを受け取ることができる。しかし、株価が大きく下落した場合に損失を被るリスクをいとわない姿勢でトレーダーがプットも売っていることは新たな展開だ。
さらに、通常はかなりハイリスクな取引と考えられているオプション売りは現在、理論上は単に株式を保有するよりも有利になっている。リスクリワードの指標であるシャープレシオに基づくと、1-3カ月の期間では1日のストラドルやストラングルを売る方が妙味がある。
このような顧客による短期的なオプション売りの結果、ディーラーはコールとプットの両方をロングにすることになり、オプション用語で「ガンマロング 」と呼ばれる状態になる。ポジションの均衡を保つため、ディーラーは上昇局面では指数を売り下落局面では指数を買う必要があり、動きを抑えることになる。