放送から25年…名作ドラマ『ケイゾク』が時代に刻んだ「型破りバディ」と「予想外展開」
■雰囲気を変えて怒涛のクライマックスへ!「朝倉」の正体は?
コミカルとシリアスのバランスが絶妙な本作だが、中盤からガラッと雰囲気が変わるのも特徴のひとつである。 その中心にいつもいるのが、「朝倉裕人」なる人物。8話で柴田の親友であり、朝倉の恋人の大沢麻衣子(西尾まりさん)が命を落としたのをきっかけに、柴田はその原因と思われる朝倉に関する調査を進める。一方の真山も、妹絡みで朝倉に強い憎しみを持ち、常に彼を監視していた。 実は快楽殺人犯であった朝倉に翻弄されるように物語は動き、やがて真山は朝倉にハメられ、早乙女管理官(野口五郎さん)の命令を受けた特殊捜査班SWEEPに追われる身となってしまう。この辺りから真山の精神は壊れ始め、同時に我々視聴者の視点も曖昧になっていく……。同僚が朝倉に操られるなど、誰を信用すればいいのかわからなくなっていく展開も印象的だった。 そして最終話「死の味のキス」にて、弐係は真山のために動き出すが、壺坂と木戸はSWEEPに撃たれて離脱。おまけに真山と対峙した朝倉は、“俺は朝倉じゃない”と言い残して自殺してしまう。つまり、それまで作中で「朝倉」とされていた人物さえも偽物だったのだ。 その後、野々村が早乙女の指紋認証をしたところ、中学時代の朝倉のものと一致。つまり早乙女=朝倉だと判明する。一方、早乙女と対峙した真山もその正体に気づくが、本性をあらわした早乙女はSWEEPの斑目重友(村井克行さん)に真山射殺を命令する。 真山をかばった柴田は早乙女に、真山はSWEEPに撃たれて倒れた。だが真山はプラスチック弾で撃たれただけだったため、油断した早乙女を射殺する。一方、実弾で撃たれた柴田は意識朦朧。真山に抱かれ、「私、死ぬ前に一度だけ、キスというものをしてみたいんですけど……ちょっと、してみてもらえますか?」と途切れ途切れの声で言うのだった。 柴田の命が残りわずかなことを察した真山がその言葉に応え、彼女と「死の味のキス」を交わすクライマックスは実に美しい。……が、エンディングで早乙女の指紋が変わり、朝倉の生存が示唆される謎を残す最後となったのだった。