礼賛、新宿歌舞伎町で迎えた熱い“ピークタイム” 「芸人の音楽」とは言わせない本気のステージ
ラランドのサーヤが“CLR”名義で作詞・作曲·ボーカルを務めるバンド・礼賛が、『礼賛 ONEMAN TOUR 2024 「ピークタイム」』を開催した。 【画像】礼賛、ユーモアと高い音楽性で観客を圧倒 2021年12月に結成された礼賛は、CLR=サーヤ(Vo)、晩餐=川谷絵音(Gt)、簸=木下哲(Gt)、春日山=休日課長(Ba)、foot vinegar=GOTO(Dr)から成る5人組バンド。本稿では5月26日に行われたZepp Shinjuku (TOKYO)公演の模様をレポートする。 暗転したステージに、まず登場したのは休日課長。「セミファイナルです! いけますか?」というフロアへの呼びかけに大きな歓声があがる中、GOTO、木下、川谷が順番にステージに現れ、音を重ねていく。4人のセッションが盛り上がってきたところで、サーヤがZepp Sinnjukuのある“歌舞伎町”にちなんでシャンパンを掲げて登場。4人の演奏に乗せて“ピークタイム”という言葉を盛り込んだフリーラップを展開し、会場の熱を高めていく。 「歌舞伎町のスケベを確認させていただきます!」と、ライブは「スケベなだけで金がない」でスタート。曲中では「スケベなだけで金がない」と繰り返すコール&レスポンスならぬ“スケベ&レスポンス”が行われ、1曲目から会場は笑いと熱気に包まれていた。 とはいえ、決してユーモアだけではないのが礼賛の魅力。芸人がボーカルを務めるバンドーーというと軽いイメージを持たれてしまいそうだが、彼女たちが本気で音楽活動をしていることは、音源やライブでの姿から十二分に伝わってくる。サーヤの聴き心地の良いラップと、フロアを巻き込むパフォーマンス力。スキルフルな演奏で彩る楽器隊。その後も5人は、「Damn it!」「Parasite」「橋は焼かれた」「愚弄」と過去曲を立て続けに披露して盛り上げていく。 この日はバンドにとって初のZepp公演でもあり、MCでサーヤは「バンド始めた時、Zeppに立てるとは思ってなかったんで嬉しいです!」と喜びを露わにした。「歌舞伎町をピークタイムに持って行きたいと思います!」と始まったのは、2月にリリースされたEP『PEAK TIME』の表題曲であり、ツアータイトルを冠した「PEAK TIME」。サーヤのエスコートで、サビでは観客の手が大きく左右に揺れる。会場が一体感に包まれる中、続いて同じくEP収録曲の「むちっ」、Maroon 5のカバーで「Sugar」を届けた。 土岐麻子の楽曲をバンドでリアレンジし、自身もラップで参加した「美しい顔」では、心地よく体を揺らす観客たちを見て「みんな美しい!」と叫ぶサーヤ。そのままメンバーに視線を向けると、「見てくださいこの美しいギター!」と木下のソロに繋げ、お立ち台でギターをかき鳴らす木下に大歓声が沸き起こる。 ツアーを振り返っての和やかなMCを挟み、ライブは後半戦へ。「Chaos」でサーヤはお立ち台でジャンプを煽り、楽器隊の力強い演奏も相まって、会場は一気にヒートアップ。1stアルバム『WHOOPEE』収録の人気曲「TRUMAN」へ繋げると、続く「オーバーキル」では会場一帯でタオルが回され、サーヤもフロアを煽りながら全力で歌声を届けていく。 「歌舞伎町がめちゃめちゃ熱い夜になっています! みんな熱くしてくれてありがとう!」と笑顔を見せるメンバーたち。「でも、まだ熱くなれると思うんですけどいいですか?」と始まったのは、ライブではお馴染みとなっているRIP SLYMEの「熱帯夜」のカバーだ。途中から川谷もボーカルに応戦し、サーヤもタンバリンを鳴らしながらステージを動き回る。「今年、RIP SLYMEさんより(この曲を)やっているかもしれない(笑)」と苦笑していた5人だが、この1曲で一段と熱い夜を作り上げていた。 ラスト1曲となったところで、「まだ色々、“芸人の音楽”みたいに言われることもあります」と語ったサーヤ。そして、充実した様子のフロアを見て「偏見もなく、純粋に礼賛の音楽を楽しんでくれて嬉しいです」と感謝を告げた。「新しい音楽を作って、良いピークタイムを迎えられるように頑張ります!」と今後の活動への気合を見せると、「take it easy」をパフォーマンスして本編を締めくくった。 アンコールでは1曲目に未発表の新曲を披露。さらに、「明日からの普通の生活を一緒に頑張りましょう!」と、2曲目には「生活」をシンプルな照明の中で届けた。こうしてライブは幕を閉じたが、ここで10月に開催される東名阪ワンマンツアー『礼賛 ONEMAN TOUR 2024「ダイヤモンドゴリラダイバー」』の発表が。歓喜に沸くフロアに向かって「またZepp DiverCityで会いましょう!」と再会を約束し、5人はステージを後にした。 バンド結成以降、定期的な音源リリースやライブ活動、各地のフェスへの出演など、着実に歩みを進めてきた礼賛。メンバーそれぞれが多方面で活躍する中で、それは決して簡単なことではないだろう。彼女たちの本気の姿勢、そして訪れた観客と“最高な時間=ピークタイム”を過ごそうとする想いが伝わってくるライブだった。初のZepp公演を終え、秋のツアーも決まった今、礼賛はこれからも私たちとのピークタイムを更新し続けてくれるはずだ。
かなざわまゆ