510ブルSSS【1】日産における小型車の主力エンジンの礎を築いた、4気筒L型エンジンを最初に乗せたブルーバード
日産が自動車メーカーとして足固めをし、大きく世界へ打って出る時期に、多くの生産車に搭載されていたパワープラントが、日産L型エンジンだった。最初にL型を名乗って世に送り出されたのは、水冷直列6気筒SOHCのメカニズムを持つL20型だった。130セドリック・スペシャル6に搭載され、1965年10月にデビューした。 【画像20枚】助手席の前にはラリーコンピューター「RC-NONO」を装着。チェックカードを留めておく洗濯ばさみも現役だ。ステアリングは今なお人気の高いダッツンコンペをチョイス。 【1970年式 日産 ブルーバード SSS クーペ Vol.1】 その後、L型シリーズは4気筒エンジンにも展開。一番手として搭載されたのが、1967年8月にフルモデルチェンジして3代目となった510ブルーバードだった。510には1.3LのL13型と1.6LのL16型の2機種をラインナップ。1600SSSには、SUツインキャブを装着したL16型のハイパワー仕様が載せられた。 L13型は、その後510ブルーバードへの搭載だけで約3年で役目を終え、ストロークを延長したL14型へとスイッチ。一方L16型は、ブルーバード、バイオレット、スカイラインなどに搭載され、小型車の主力エンジンとして量産されたのだった。 その4気筒のL型エンジンを最初に搭載してデビューしたのが、3代目510ブルーバードだ。 L13型が1キャブ1種類、L16型は1キャブとSUツインキャブの2種類だった。その後のマイナーチェンジで、L13型はL14型の1キャブに置き換えられるとともに、新たにL18型のSUツインキャブが加えられた。 1970年9月に登場した510ブルーバード最強の1800SSSは、4ドアセダンとクーペが用意されたが、この設定は1年後の71年8月にフルモデルチェンジする、610ブルーバードUへの布石でもあった。と同時に、510ブルーバードはニューモデルの610が発売された後も車種整理をして併売というかたちで生き残る。 主要諸元 SPECIFICATIONS 1970年式 日産 ブルーバード SSS クーペ(KP510) ●全長4120mm ●全幅1560mm ●全高1395mm ●ホイールベース2420mm ●トレッド前/後1270/1280mm ●最低地上高210mm ●室内長1635mm ●室内幅1270mm ●室内高1115mm ●車両重量935kg ●乗車定員5名 ●最高速度165km/h ●登坂能力sinθ0.479 ●最小回転半径4.8m ●エンジン型式L16型 ●エンジン種類水冷直列4気筒SOHC ●総排気量1595cc ●ボア×ストローク83×73.7mm ●圧縮比9.5:1 ●最高出力100ps/6000rpm ●最大トルク13.5kg-m/4000rpm ●燃料供給装置SU型ツインキャブレター ●変速比1速3.657/2速2.177/3速1.419/4速1.000/後退3.638 ●最終減速比3.900 ●燃料タンク容量46L ●ステアリング形式リサーキュレーティングボール式 ●サスペンション前/後独立懸架ストラット式/独立懸架セミトレーリング式 ●ブレーキ前/後ディスク式/リーディングトレーリング式 ●タイヤ前後とも5.60-13 4PR ●発売当時価格76.3万円 初出:ノスタルジックヒーロー 2013年8月号 Vol.158 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
Nosweb 編集部