眠れない!更年期以降増える悩みは「睡眠休養感」が鍵に!チェックリストも
睡眠休養感を高めてスッキリ目覚めを手に入れよう#1
あなたは今朝、スッキリとした気分で起きられましたか? 実は長時間眠っているつもりでも、睡眠の「質」が低いと、健康を害するリスクが高くなることが最近の研究でわかってきました。まずは、あなたの睡眠状況をチェックしてみましょう。 ■更年期の不調や不安を渡辺満里奈さんと産婦人科医高尾さんが語る!
教えてくれた人:栗山健一(くりやま・けんいち)さん
医師。国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所睡眠・覚醒障害研究部部長。1999年、筑波大学医学専門学群卒業。2003年、東京医科歯科大学大学院修了。米国ハーバードメディカルスクール留学、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所、滋賀医科大学精神医学講座准教授などを経て、19年から現職。専門は睡眠障害。日本睡眠学会理事を務める。
更年期以降、眠りの悩みはなぜ増える?
寝付きが悪い、途中で目が覚める、熟睡できない……。更年期以降、こんな訴えが増えるのはなぜでしょうか。 「まず女性ホルモンの減少が考えられます。更年期以降は眠りを深くする女性ホルモンのエストロゲンが減るため、睡眠が浅くなりがちです。さらに加齢とともに体内時計の機能も弱まり、昼間は起きて夜は眠るという覚醒と睡眠のメリハリも小さくなってきます。 このため夜中に何度も目が覚める半面、昼間に眠気やだるさが生じ、ぐっすりと眠れる時間が減ってきます」と国立精神・神経医療研究センター睡眠・覚醒障害研究部部長の栗山健一さんは話します。
65歳以上で健康を害す!ダメな睡眠習慣とは?
国立精神・神経医療研究センターなどの研究グループが、40歳以上の5804人を対象に睡眠休養感と床の中で過ごす時間、死亡リスクとの関係を調べた(追跡期間は平均約11年)。 ※上のグラフは65歳以上の人の結果 出典:Scientific Reports; doi: 10.1038/s41598-021-03997-z 栗山さんらは2022年、睡眠習慣と健康に関する興味深い報告をしました。65歳以上の人を調べた結果、床の中で過ごす時間が長く、「睡眠休養感」が低い人は、そうでない人に比べ死亡リスクが高いことがわかったのです(上グラフ) 睡眠休養感とは、朝起きたときに睡眠によって体が休まったと感じられることで、睡眠の質を表します。 「加齢とともに必要な睡眠時間は短くなりますが、若い頃と同じようにたくさん眠ろうとする人が少なくありません。床に入ってもなかなか寝付けないので寝床で過ごす時間が長くなり、朝の睡眠休養感も得られにくくなる。そんな睡眠習慣が不安やストレスを高めたり、不眠を招いたりして健康を害するリスクになると考えられます」(栗山さん)