小林誠司が阿部巨人のキーマン? 野村克也氏が「生前に贈った金言」とは
「固定観念を捨てるのだ」
もちろん、大城が正捕手であることは間違いない。小林は打撃がネックになる。ただ、球界屈指の名捕手として知られる野村克也氏は、生前に違った見方を示していた。小林が正捕手だった18年。119試合出場で打率.219、2本塁打、26打点と打撃面でふるわなかったが、週刊ベースボールのコラムで以下のように語っている。 「そもそも小林誠司がダメだ、ダメだと言われるのも、私は小林自身というより周りがダメなのではないかと思っている。キャッチャーの指導ほど、難しいものはない。誰もが簡単に結果論で責めるから、小林もなかなか納得できないのではないか」 「巨人の小林にしても、『俺はやっぱりバッティングがダメだ』と思い込んでしまっているのではないか。キャッチャーである以上、レギュラーを目指したときのように、四番バッターを目指すべきだ。『将来、絶対四番を打ってやる』と高く目標を持ってほしい。『キャッチャーは打てないものだ』という固定観念を捨てるのだ。考えてもみてほしい。キャッチャーは日ごろ、バッター封じの仕事をしているではないか。それを逆の立場から、自分のバッティングに生かせばいい」 「そのあたり、古田敦也なんか、いい例だ。さすが古田、抜け目がない。キャッチャーの配球論をそのまま、バッティングに生かしたのだ。ストレートが何球続くか、変化球を空振りしたら、次の球をどうするか……キャッチャー側から見た考えを、そのままバッティングに反映させた。大したものだ。ああいうところを見ても、彼の頭の良さがよく分かる。小林も甲斐拓也も、見習ったほうがいい」 小林は今季プロ11年目を迎える。「第2捕手」という新たな役割で、もう一花咲かせることができるか。 写真=BBM
週刊ベースボール