連続テレビ小説「おむすび」脚本家・根本ノンジ「橋本環奈さんならもっと面白いシーンを…」
――根本さんご自身にとって阪神・淡路大震災はどんな出来事でしたか? 「25歳で、多分まだ放送作家としても見習いだった頃で、テレビで見ていました。関西にゆかりがなくて、友達もいないのでほとんど触れてこなかったのですが、東日本大震災を東京で経験した時に振り返って、阪神・淡路は別の形の災害だった、津波とは違う都市型の地震だ…っていうのを聞いて、全然知らかったのだなと思って。なので、この作品をやるに当たって改めて調べ直しました」 ――根本さんは「監察医 朝顔」(フジテレビ系)で東日本大震災を描かれていますが、ドラマで震災を描くことについてどう捉えていますか? 「日本ってすごく平和で、今は戦争もなく過ごしていますが、自然災害とは切っても切り離せない国だと思うんですね。そして、それが常にわれわれの身近にあるということをきちんと学ぶべきなんじゃないかと。ドラマはフィクションだからこそ、ドキュメンタリーとは違う側面から描けると思っています。災害という理不尽で、あらがえないことを人間としてどう向き合うのかは、常に一つのテーマとして僕の中にあるんです。母が19年前に事故で亡くなったのですが、『じゃあ明日ね』と言った人と明日会えなくなる…みたいなことって、誰にでも起こりうることだなといつも思っていて。地震と事故というのはまた別の形なのですが、理不尽なもの、なんともあらがえないものにどうやって人間は向き合い、そこから立ち上がるのかっていうのは、自分の中でいつも大きなテーマだと思って描いています」 ――根本さんにとって平成はどんな時代でしたか? 「一番バリバリ仕事をやっていた時代で、楽しかったですね。ドラマもバラエティーもめちゃくちゃ大変だったのですが、どちらも楽しかったです。予算がだんだん減ってきている感じはしていましたが、それでも新しいカルチャーや機械、ITなどいろいろなものが生み出されて、飛躍的に伸びたのが平成だなと思って。20代中盤から後半までの思い出ですが、青春だった記憶があるんです。テレビの世界に入って、夢中でやっていた感じで。なので、自分の中では青春を振り返りながら作っています。もちろんその間に悲しい災害や事件もたくさんありましたが、暗い部分だけじゃなくて、めちゃくちゃ楽しかったし、面白かったし、いろんなものが生まれていたっていうのをきちんと描きたいなと思っています」