格子戸越しのひな人形、沿道の家々に並ぶ 長野・海野宿で祭り
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長野県東御市(とうみし)の「海野宿ひな祭り」が25日から3月20日までの日程で始まりました。北国街道沿いに約400年前に設けられた海野宿は当時の宿場町の姿を今に残す重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)。今年で3回目のひな祭りは海野宿保存の機運を高めようと始まり、期間中沿道の多くの家がひな人形を街路に向けて展示しています。訪れた人は格子戸越しに見るさまざまなひな人形に喜んでいました。
江戸以降の面影伝える町並み
ひな祭りは地元など関係団体の実行委員会主催。海野宿は延長700メートル近くあり、立ち並ぶ家々の中央を通る道に水路があります。うだつを設けた建物や道路に面した格子が特徴。かつて参勤交代や物流の要所とされた面影を残し、建物を中心に江戸時代以降の景観を伝えています。 ひな祭りの展示は沿道の40軒近い家々が参加し、海野宿の特徴とされる格子の内側にそれぞれの人形をセットします。家によっては100を越すと見られる多彩なひな人形を展示。人形の衣装の鮮やかな色が格子から入る日差しに映えて、独特の雰囲気を醸し出しています。
訪れていた家族連れは1軒1軒見て回り、「人形がたくさんある」と子どもたちもうれしそう。車いすの家族とともに観賞していた女性は、屋敷の門の入り口に展示された人形をじっと見入っていました。家によってはひな人形が見やすいように戸を開けて直接表に出すなどの工夫もしています。 沿道の家ではそばや餅など食事も提供しており、手打ちの腰の強い信州そばなどを楽しみながらくつろげます。そば店の主人は、「この家は3代続き、本家は15代続いています」。1625(寛永2)年開設の海野宿は2025年に400年の歴史を刻むため、地元では宿場町を中心に「訪れて楽しい地域づくりを」と意気込んでいます。
春分の日にさしかかる3月19日から2日間は甘酒などを振る舞い、着物で訪れた人にプレゼントを用意。流しびなの制作体験や、特産品のフリーマーケットなど多彩な催しを予定しています。3月19日の午後5時からは街道沿いにあんどんをともします。 海野宿は上信越道・東部湯の丸ICから車で10数分。しなの鉄道の大屋駅と田中駅の中間に位置し、どちらの駅からも徒歩20数分。駅からタクシーも利用できます。
----------------------------------- ■高越良一(たかごし・りょういち) 信濃毎日新聞記者、長野市民新聞編集者からライター。この間2年地元TVでニュース解説