大阪市と上海市 技術交流フォーラムを開催、日中企業のオープンイノベーションを後押し―第10回上海交易会
グローバル化が進む今の時代、安定した経済基盤を持つ日本市場は、イノベーションに満ちた産業構造やオープンな投資環境も相まって、世界中の投資家から熱い視線を集めている。 登壇ゲストやイベントの写真を見る 中国上海市で6月12日から14日にかけて「第10回中国(上海)国際技術輸出入交易会」(以下、上海交易会)が開催された。その関連イベントとして、今年のゲストシティである大阪市と上海市が主催し、36氪出海(36Kr Chuhai)が運営する「大阪企業技術提携促進フォーラム」が12日に行われた。今年は大阪市と上海市が友好都市を結んで50周年という節目にあたることから、大阪市経済戦略局の和田彩理事が代表団を率いて各イベントに参加し、貿易やテクノロジー、文化などにおける両都市の協力をいっそう深めていくことを確認し合った。 今回のイベントではお互いの理解を深めることに主眼が置かれた。まず大阪の企業に中国市場への理解を深めてもらい、ビジネスやイノベーションをめぐる企業間の交流を進め、大阪の企業が中国に投資できるよう後押しする。さらに中国企業にも日本市場への理解を深めてもらい、中国企業の海外展開をサポートする狙いがある。
日中企業のさらなるオープンイノベーションを強化
イベントの基調講演では、大阪市上海事務所やジェトロ上海事務所、三井住友銀行(中国)、ハイアールグループ(Haier)などが、日本市場進出のチャンスや大阪のビジネス環境を解説し、実際に日本進出を果たした事例を紹介した。また、2025年4月13日から10月13日に開催される「大阪・関西万博」もたびたび紹介された。 大阪市は医療関連産業や先進製造業、建築業などが発展しており、自治体も5G通信技術の普及を積極的に進めるなど、産業のDXが急速に進んでいる。また関西地域の域内総生産8165億ドルのうち1950億ドルを大阪市が占めており、地域経済の成長を支える大きな原動力となっている。 日本を代表するメガバンクの1つ三井住友銀行は、「日中オープンイノベーションについて」というテーマで講演を行った。日本市場に進出したい中国スタートアップへの支援や、中国現地での日本企業との協業をサポートするなどして、両国企業それぞれの強みを生かしたウィンウィンの関係を実現したいと語った。 コーポレートバンキング推進室の関洋人室長は、オープンイノベーションを進める過程では、意思決定のスピードや求める品質基準の違いなどで日中企業ぶつかることもあり得るとしつつ、双方が心を開いて互いを理解しようと努めるなら、これらの問題も必ず解決できるだろうと語った。 さらに、ハイアールグループ日本地域CEOの杜鏡国氏が日本における同社のあゆみを紹介した。今や白物家電で世界トップシェアを誇るハイアールは2002年に日本へ進出、大阪市に日本法人を設立した。 日本での事業成長は、三洋電機との戦略提携抜きには語れないと杜CEOは話す。日本市場に参入した2002年、ハイアールは三洋とそれぞれ自国の販売網やリソースを共有することで合意、”ライバル”と提携するという新たな協力関係を打ち立てた。こうしてハイアールは日本市場への参入を果たし、三洋もハイアールの販売力を生かして中国市場を開拓していった。 2007年には三洋と合弁会社を設立、日本にある三洋の生産ライン全てをハイアールが引き継ぎ、両社の製品開発や生産技術、品質管理を統合した。これにより三洋は冷蔵庫事業の赤字から脱し、ハイアールも生産能力を強化することができた。 2012年、三洋が冷蔵庫と洗濯機事業をハイアールに譲渡する。ハイアールはこれを機に日本や東南アジアを中心とするアジア地域の組織を再編し、開発・製造・販売の三位一体組織を確立した。