韓国・尹錫悦大統領、文政権法相もいる拘置所へ どんな待遇?
内乱などの容疑で15日に逮捕された韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は、高官犯罪捜査庁(高捜庁)の検事による取り調べ後、ソウル拘置所に身柄を移送されている。現職大統領が拘置所に収容されるのは史上初めて。尹氏はどのような待遇を受けているのか。 韓国メディアの報道をまとめた。 【写真特集】尹大統領を乗せた車両 拘置所は、刑事事件の容疑者や被告などを収容する施設だ。韓国では法務省が管轄する。ソウル拘置所は首都ソウル郊外の京畿道義王市にある。高捜庁からは車で10分ほどの距離だ。 大統領退任後に刑事事件で逮捕され、拘置所に収容された人物としては、近年では朴槿恵(パク・クネ)氏と李明博(イ・ミョンバク)氏がいる。 2017年3月に収賄や職権乱用などの疑いで逮捕された朴氏も、ソウル拘置所に収容された。聯合ニュースによると、朴氏は一般の収容者6~7人が使う雑居部屋を改造した約10平方メートルの独房で過ごした。 収賄などの容疑で18年3月に逮捕された李氏は、ソウル東部拘置所に収容された。李氏も広さ約13平方メートルの独房で生活した。 韓国メディアによると、尹氏は15日夜、令状審査の結果を待つ容疑者が待機する部屋に入った。この部屋は他の容疑者と接触する機会がなく、事実上の独房と言える。広さは10平方メートルほど。室内には仕切りがついたトイレやテレビ、布団などが備えられている。ベッドはないが、床暖房の機能があるという。 尹氏は私服を着て過ごしているものの、監視カメラが24時間稼働している。大手紙「中央日報」は、拘置所内では「ベルトやネクタイは所持できない」と伝えた。 16日の朝食はシリアルと牛乳、ゆで卵など。昼食はジャージャー麺、夕食はテンジャンチゲ(みそ鍋)などが提供されたという。 裁判所が継続して拘束することを認めれば、尹氏は別の部屋に移される。現職大統領であることを考慮し、他の容疑者と接触することのない独房に収容される可能性が高い。 なお、ソウル拘置所には現在、文在寅(ムン・ジェイン)前政権で法相などを務めた祖国革新党の曺国(チョ・グク)前代表が収監されている。曺氏は子供の入試不正疑惑で公文書偽造・同行使罪などに問われ、懲役2年の実刑判決が確定し、ソウル拘置所に収監された。 曺氏は、今月3日に高捜庁が尹氏に対する逮捕状の執行を試みて失敗した翌日、祖国革新党所属の国会議員に宛てた手紙で「尹(大統領)にソウル拘置所で会うだろうと期待していたが、そうはならなかった」と漏らした。尹氏は結局逮捕されたが、独房に入れば曺氏と接触することはなさそうだ。【ソウル福岡静哉】