円形脱毛症に悩み頭をそり上げた序二段醍醐桜 髪がなくても土俵に立てる 相撲界も多様性を尊重
<大相撲初場所>◇4日目◇15日◇東京・両国国技館 今場所から西序二段70枚目の醍醐桜(16=高田川)が、きれいに頭をそり上げて臨んでいる。 【写真】髪をそり上げる前の醍醐桜 日本相撲協会の公式ホームページでは昨年春場所の初土俵当時、まだ髪がふさふさだった写真を掲載。だが円形脱毛症により、徐々に髪が抜け、昨年11月の九州場所のころには、頭頂部や頭部側面の髪がほとんど抜け落ちていた。師匠の高田川親方(元関脇安芸乃島)と相談し、同12月上旬に理容室で、わずかに残っていた髪を全てそり上げ、現役で唯一、髪が全くない力士となった。 醍醐桜は「原因が分からない病気で、環境が変わったことが影響しているのかもしれない」という。力士の象徴のまげを結える日を願って、毎日、自ら頭部をマッサージ。部屋頭の前頭湘南乃海ら4人の関取衆からも「大丈夫、そのうち生えてくる」と励まされてきた。以前の相撲部屋のような厳しい上下関係はなく、ストレスが原因ではない。 12年夏場所まで現役だった太閤丸も、同様に病気で髪がなかったが、協会、部屋ともに公認だった。協会の「相撲規則」では頭髪について「十枚目(十両)以上の力士は、出場に際して大銀杏(おおいちょう)に結髪しなければならない」としか記載されていない。厳密にこれに準ずるなら、スピード出世で今場所初めて大銀杏を結った大関大の里も規則違反。幕下以下は規定すらない。頭髪が薄くなり“まげが結えなくなったら引退”のイメージが強いが、その限りではない。 醍醐桜は「いつか大銀杏を結えたら」と、再び髪が生え、関取に出世することが夢と語った。この日の二番相撲は勇み足で今場所初白星。「内容は負けていたけど、これを機に良い流れに乗れたら」と前向きだ。一番相撲で対戦した応時山は「見た瞬間『アレッ?』と思った。あるはずのものがないのでビックリしたけど、病気は仕方ない。頑張ってほしい」とエールを送った。まげのない力士も個性-。伝統を重んじる相撲界も、多様性を尊重する時代となった。【高田文太】