珠洲に贈る最後の弁当 豪雨翌月から毎週大谷に届け
能登半島地震で被災した珠洲市の4飲食店の店主による合同会社「すずキッチン」は21日、同市大谷地区の住民におせち料理が入った弁当約160食を届けた。豪雨の翌月から毎週届けてきた「大谷愛情弁当」と名付けた弁当は今回で最後となり、住民からは感謝の声が上がった。 大谷地区は地震に続き、奥能登豪雨でも甚大な被害を受け、断水も長期化した。すずキッチンの店主のうち2人が地震前まで大谷で店を営んでいたことから、支援を受けた食材を使って、10月中旬から毎週土曜日に無料で弁当を届けてきた。 おせち料理の弁当は、すずキッチンの店主の一人、浜中康男さん(60)の後輩で、岐阜県池田町で和食屋を営む河本武弥さん(52)が企画し、食材は知り合いに提供を呼び掛けて集めた。弁当には昆布巻きや数の子、黒豆、蒸しエビなどが詰められ、受け取った住民が一足早い「お正月気分」を味わった。 清水町の濱幸治さん(48)は「家族で毎週楽しみにしていた。自分たちも大変なのにおいしい弁当を届けてくれて、本当にありがたかった」と話した。