現代アートと合わせて楽しむモネ ユニークな展示構成の見どころは
横浜美術館で開催中の企画展「モネ それからの100 年」。印象派を代表する画家、クロード・モネ(1840-1926年)が最晩年の大作《睡蓮》に着手してから約100 年を記念した同館初の大規模なモネの展覧会だ。キャッチコピーに「わたしがみつける新しいモネ。」と銘打たれた本展は、モネの作品25点のほか後世代の26作家の66作品が作家ごとでなく、テーマごと並べられているのが最大の特徴。 展示は名古屋美術館との2会場巡回で、近現代に特化する横浜美術館の学芸員がモネの絵画の特質・独創性に通じる視点をもった現代の作家の作品を担当、名古屋美術館では「モネ博士」とも称される深谷克典副館長を中心にモネの作品を主に担当した。4つテーマそれぞれの見どころを、同美術館広報・渉外チームの一色あずささんに伺った。
1つ目の「新しい絵画へ-立ち上がる色彩と筆触」は、アンドレ・マッソンの1995年のインタビューで提起された「つまり、モネは印象派ではなく、あらゆる現代美術の生みの親ではないか?」という問いかけから始まる。 モネ以前では筆跡を残さず綺麗に描くことが良いとされていたが、モネは積極的に筆触を絵に残した。展示では、モネの日本初公開作品《ヴィレの風景》の横に現代美術作家・丸山直文の作品《puddle in the woods》が並ぶ。木立の間からセーヌ河と山を望むモネの風景作品と、木々に囲まれた水辺の情景を独自の絵空間に消化させた丸山の作品を見比べると、同一要素の発見に導かれる。
「モネは多くの人に愛されているが、逆にどうしてモネが好きなのか言葉にできる人はあまり多くないはず。展示テーマを通じてそれぞれのモネを見つけてもらえれば」と一色さんは語る。
2つ目のテーマは「形なきものへの眼差し-光、大気、水」。「何を描くかは二の次で、私が本当に表現したいのは、描くものと自分の間に横たわる『何か』なのです」というモネの言葉に続き、モネの《霧の中の太陽》や、ゲルハルト・リヒターの《アブストラクト・ペインティング(CR 845-8)》といった「光、大気、水」などの「何か」が表現された作品が並ぶ。