U-23スペイン代表FWカメジョの金銭感覚「母親の月収超えるシャツは絶対着ない。兄弟が持てないような高級時計も付けない」| ラ・リーガ
ラージョ・バジェカーノのU-23スペイン代表FWセルヒオ・カメジョは、他のフットボール選手とは異なる金銭感覚の持ち主であるようだ。 アトレティコの下部組織出身で、2023-24シーズンにレンタルで1年プレーしたラージョに完全移籍を果たしたカメジョ。今夏にはU-23スペイン代表としてパリ五輪に臨み、決勝のフランス戦で2ゴールを記録して、92年バルセロナ五輪以来となる金メダル獲得に貢献している。 そんなカメジョはマドリードで、そこまで裕福ではない家庭で育ち、両親の働く姿を見ながら育ってきた。だからこそフットボールのエリート界にいても、地に足をつけているようだ。ラージョFWはスペイン『ABC』とのインタビューで、次のように語っている。 「母はショッピングセンターにあるブティック、父は粘着ラベルの会社のマーケティング部門で働いている。母はその人生を通して、ずっとショップ店員を務めているんだ。彼女はサン・ブラス(アトレティコの本拠地メトロポリターノの近くにある地域だが、所得水準は低い)で育ち、16歳から働かなければいけなくて、54歳となった今も仕事を続けている。ずっと同じ会社で働いているよ」 「お金は本当に大事なものだ。さっき、自分の両親の仕事について話したよね。僕たちは貧乏ではなかったけれど、とても慎ましくはあった。自分には双子の兄弟がいて、僕たちは両親がしてくれることを本当にありがたく感じていたんだ。自分たちにとってのパーティーは、月に一度だけ行く、家の下にある中国人レストランでの食事だった。そのことは強烈に記憶している。僕たちはそこにある食事の価値について知っていたから。それにあの頃、父親は二つの仕事をかけ持ちしていたんだ。だからこそ僕は、お金の使い方には気を付けるようにしている」 「もちろん、自分だって気まぐれに何かをほしくなることはある。だけど無駄遣いをすることはない。例えば、自分がブランド物で着飾っている姿を見ることは決してないだろう。母の月収が700ユーロ(約11万円)なのに、600ユーロ(9万5000円)のシャツを買うようなことはしない。そのための600ユーロをつかんで、母に渡すんだよ。自分は時計も持っていない。兄弟が持っていないような、とても高額な時計をつけることなんてできないんだ。そうしたことについては、しっかりとしつけられてきたんだよ」 現在カメジョがプレーするラージョは、バジェカスに拠を構えている。ここも裕福な地域とは言えないが、だからこそ感じられる何かがあるようだ。 「アトレティコを去るとしたら、ラージョに戻りたいということははっきりしていた。このクラブほどに一つの地域、そこに住む人々とつながれたという感覚はなかった」 「僕はアトレティコのロッカールームからやって来た人間で、そこには多くのスターと大きなエゴが存在した。でも、ここの人々は3部や2部といった舞台で頑張ってきたんだ……。彼らはより多くのことに価値を見出せる、もっと親しみやすい人たちだ。悪く解釈されることは望まない。ただアトレティコのようなクラブには、チャンピオンズの決勝で戦ったような選手たちや、世界王者となった選手たちがいる。だから彼らは……言ってしまえば、リアルな人たちじゃないんだよ。僕がバブルの中にいるとすれば、彼らはもっと大きなバブルの中で生きている。だからこのロッカールーム、この地域に辿り着いたのは理想的だった。今の僕は望んだ人生を過ごしている。すべてラージョのおかげさ」 「アトレティコについては気を遣って話していたって? そうだね。ほかの選手たちについて悪く言っているとは思ってほしくない。それは僕の意図することじゃないんだ。別に、僕は何かを暴露しているわけじゃないんだよ。それに、僕もアトレティコのカンテラーノとして同じ経験をしている。自分のキャリアだって、イシやオスカル・バレンティンほどに苦労したものではないんだ。ビッグクラブのカンテラでは、すべてがより簡単となる。ボールは何十個もあって、ユニフォームを洗ってくれるし、若い頃から給料だってもらえるんだ……」 カメジョはその一方で、パリ五輪決勝フランス戦の2ゴールについても振り返る。その両ゴールとも、現代フットボールでは見る機会が激減したループシュートから決められたものだった。 「GKを眼前にするとき、僕はあっちが前に出てくるまで我慢して我慢して、そしてボールに触れるんだ。左右のどちらかのポストに向けてボールを蹴るよりも、浮かせて決めたいね。僕はずっとビジャやラウールみたいなストライカーに注目してきた。ラウールは力強い選手というよりも、もっとテクニカルでスピーディーで、そのフィニッシュやループと言ったら……それが彼のアイデンティティーだったんだ。彼と比較されるのは素晴らしいね」