実は他人ごとじゃない!「適応障害」とはどんな病気? ストレスから3ヵ月以内に症状が現れる
特徴は、症状の原因となったストレスが明らかであること
適応障害では、こころや体、行動面にさまざまな症状が現れます。しかし、いずれの症状も強くありません。また、適応障害に特有の症状もありません。 適応障害の特徴は、症状の原因となったストレスがはっきりしていることです。診断基準(米国精神医学会)にも、適応障害は原因ストレスから3ヵ月以内に発症すると明記されています。 ストレスが取り除かれればすみやかに軽快し、症状がおさまるまで6ヵ月を超えないことも適応障害の大きな特徴です。ただ、原因となるストレスが続く場合、慢性化することはあります。 また、抑うつや不安などの症状が強くなり、その症状をもつほかの精神疾患に進むこともあります。適応障害は、それぞれの精神疾患の「不全型」といえるでしょう。 症状があっても、日常生活に支障が出てくる段階までに受診すれば、病気に進むのを止められる可能性が高くなります。 【この段階のうちに受診しよう】 ●うつ病? 抑うつの強さや持続期間などが、うつ病ほどではない。なんとか日常生活はできる。うつ病というより、うつ状態。 ●PTSD? ストレスがあったといっても、命をおびやかすような重大なできごとではなかった。 ●不安症? 不安感はあるが恐怖感はない。めまい・動悸・息切れなどが起こることもあるが、パニック症というほどでもない。 ●パーソナリティ障害? 境界性パーソナリティ障害や自己愛性パーソナリティ障害とも違う。リストカットなどの自傷行為をすることもほとんどない。
主な症状はどれ? 適応障害の6タイプ
適応障害は、抑うつ、不安などの情緒、行為などの症状から6つにタイプ分けされます。いずれもその症状を特徴とする病気ほど、強い症状はありません。 抑うつ気分もうつ病ほどではないし、不安も不安症ほどではありません。もっとも多いのは、不安と抑うつ気分の混合を伴うタイプです。 1. 抑うつ気分を伴うタイプ 憂うつ感、涙もろさ、絶望感、思考力・集中力・判断力の低下などが主症状。感情がコントロールできず、泣き叫ぶことも。いずれの症状もうつ病ほどではない。 2. 不安を伴うタイプ ばくぜんとした不安感がある。死、災害、病気などを心配しすぎたり、神経過敏になって社会生活に支障をきたす。不安症というほどではない。 3. 不安と抑うつ気分の混合を伴うタイプ 心配と不安、気分の落ち込みが同時に現れる。体の病気があってこころに影響が及んだ人の大半が、このタイプの適応障害という報告もある。 4. 素行の障害を伴うタイプ 万引きや飲酒運転、友人や家族への暴力、無断欠勤、公共施設への落書きなど、規則違反や反社会的な素行を伴う。 5. 情緒と素行の混合した障害を伴うタイプ 適応障害は子どもにもあり、その場合はこのタイプが多い。子どもの抑うつや不安は情緒の障害とされる。かん黙、不登校などとして現れる。情緒障害とは病名ではなく、文部科学省の規定。情緒の現れ方が偏っていたり、激しかったりする状態を指す。自分の意志ではコントロールできず、学校生活や社会生活に支障となる。 6. 特定不能のタイプ 肩こり、頭痛、疲労感などの身体症状を訴えたり、ひきこもりが主症状である場合。統合失調症の前触れとして現れている症状を、このタイプと間違えられることがある。
からだとこころ編集チーム