スーファミ名作『ロマサガ2』リメイク版が独自路線から転換 “わかりやすさ”重視の新システムに
原作ではこのゲームシステムがかなりわかりづらかった。道案内が乏しいのでどこに行けばいいのかわからないこともよくあり、自由さが魅力ではあるものの迷う人を生む要因にもなったのだ。 また、味方が敵に魅了されてしまう「テンプテーション」という技の対策を用意しておかないとボスに勝てなかったり、どこでもセーブできるシステムのせいで、ラスボス前に記録すると完全に詰みとなることすらあった。 ■「わかりやすさ」のため方向転換
リメイク版『ロマサガ2』では、原作にあった問題を解決するため、とにかくわかりやすくなっている。 どこへ行けばイベントが進行するかはもちろん、ステータスアップも可視化されて通常のレベル制のようになっている。バトル中にどの技を使うと閃きやすいのかなど、隠されていたデータも明らかになった。セーブも特定の場所でしかできず、詰みもほとんどなくなったといえる。 選択によって展開が変化するといった要素や、各展開のセリフなどはそのまま残っている。ただ、ゲームシステムの見せ方はかなり変化している。バトルシステムもかなり手が加わっており、原作は基本的に短期決戦だが、リメイク版のボス戦は敵の弱点を狙いつつ長期戦を繰り広げるものになった。
前述のように「サガ」シリーズは特殊なRPGで、ナンバリング最新作である『サガ エメラルド ビヨンド』はバトル中の回復魔法がないほど尖っていた。 しかし、リメイク版『ロマサガ2』はとにかくわかりやすくして、じっくり育成するようなゲームにする仕組みを用意し、ふつうのRPGにかなり寄せている。もちろんキャラクターやストーリーはそのままなのだが、思想がまったく違うゲームになったといえる。 ■リメイク作品は誰のために?
ゲームをリメイクする場合にはいくつかの方向性がある。まったくそのままにグラフィック品質などを上げることもあるし、原作の意図をうまく拾いつつしっかり手を加えるものなど、手法はさまざまだ。 リメイク版『ロマサガ2』はとにかく遊びやすくしており、作家性とでもいうべきものが抜けている。原作のとっつきにくさを含めて好きな人からすると衝撃ではあるが、一方で商売としては理解できる。 このリメイク版を遊ぶのは、当時原作を遊んだ40~50代前後の人たち、そして過去の名作を触ってみようと新しく触れる人たちだろう。かつてゲームを楽しんでいた人たちに、いま尖っているRPGをプレイする気力はあるだろうか? ただ昔を懐かしむのであれば、むしろ穏やかに遊べるほうがいいだろう。
新しく入る人たちにも、入門しやすいほうがよいと考えられる。ゆえに、ある意味ではプレイヤーのほうを向いたリメイクといえるだろう。もっとも、ここから『サガ エメラルド ビヨンド』のほうに流れていくとは考えにくいほど方向性が違うのだが。 いずれにせよ、リメイク版『ロマサガ2』は表面的な雰囲気こそ原作そのままに見えるが、中身を大きく変えた大胆不敵な作品といえるだろう。
渡邉 卓也 :ゲームライター