パリ本店ブティックで、マドモアゼル シャネルの人生を辿る。
この時、約50点が発表された中から買い戻されたのはコメット。本店の地下1階にはパトリモニーフロアがあり、パリに大きな話題を提供したこのイベントを取り上げた300以上もの世界中のメディアの記事とともに、ブローチは発表当時の青い宝石箱に納められて大切に護られている。
本店内で一般に公開されていないのはパトリモニーフロア、そして3階の広場に面して広がるヴァンドームサロン。その次の間は地下に所蔵するジュエリーからの展示を行っているが、カスタムカットされた55.55カラットのダイヤモンドをセンターに配した「55.55」ネックレスが暗い空間に燦然と浮かび上がる姿は神々しいほどだ。
ヴァンドームサロンでゲストをもてなすのは、広場の見事な眺望と20世紀を代表する抽象画家ニコラ・ドゥ・スタールの油彩画『コンポジション』である。
先鋭的で贅沢なモダニズムを表しつつも古代的な永遠主義を有する点、シャネルというメゾンの価値と通じ合うものがあることから選ばれた傑作だ。
18, place Vendôme 75001 Paris France 33-(0)1-40-98-55-55 営)10:30~19:00(月~土) 12:00~19:00(日) 無休 www.chanel.com *「フィガロジャポン」2024年1月号より抜粋
text: Mariko Omura