親戚や上司が勝手に暴露…“妊娠アウティング”の苦しみ 10人以上のグループLINEでバラされた当事者「安定期前に言われ本当に悲しかった」
■「親世代は“見えない競争”をしてきてる」
家族・親族間での妊娠アウティング経験者からは「安定期前だったのに義理の親が言いふらした」、「義父母に伝えたらすぐに祖父母らに連絡されその後すぐ流産になって気まずかった」、「義母がSNSで勝手に妊娠を公表し、他人から『ああしろ こうしろ』言われて落ち込んだ」などの声があがっている。
夫婦・家族問題評論家の池内ひろ美氏は「妊娠アウティングは昔からあった」といい、「法事や親族が集まる場で、 例えば長男の嫁が妊娠したことを、嬉しくて誇らしくて伝えてしまう。 あと、悪意がないからこその問題の根深さがあって、親世代は“見えない競争”をしてきてる。子供が生まれたら、身長が何センチ、言葉の発達、いつ歩いたか、どこの学校に入学する、就職する、結婚する。結婚したら、いつ孫が産まれるかなど見えない競争の中に入ってしまっている」と説明。 さらに、“見えない競争”について「無意識のマウンティング。子育てをしてる中で、自分の子供がどこの学校に入った、成績がどうとか自慢するのは、マウンティングするつもりはなくて、親は嬉しくて言ってしまう」と補足した。
■職場での妊娠アウティング「おめでたい情報を共有すべきという意識が、企業の上司側にある」
「ゼクシィBaby 職場への妊娠報告アンケート」によると、約90%が妊娠初期の段階で上司に妊娠を報告している。早く報告する理由は「力仕事もあり仕方なく2カ月目に伝えた」、「妊娠6週でつわりがひどい状態になり、異変に気付かれて報告」など。
そんな上司が妊娠アウティングしてしまうことも多々ある。職場でアウティング経験のある女性(30代)は、業務の引継ぎを考え、上司にだけ報告したが、本人がいない飲み会の場で暴露されたという。「『自分の口からみんなに伝えたい』とお願いしてたので裏切られてるところも嫌だった」と話した。
リディラバ代表の安部敏樹氏は「飲み会で言っちゃったみたいなのは論外だ。そんなことがあったら、『君はマネージャー難しい』みたいな話になるレベルだ」と苦言を呈す。 職場のハラスメント研究所の金子雅臣代表は、妊娠アウティングを職場で防止するためには、「企業のハラスメント規定に『妊娠=プライバシー』を明確に盛り込み勝手に暴露しないようルール化」、「妊娠報告を受けた人が他者に言う必要がある時は当事者に確認」「妊娠報告を受けた人と当事者間で意思疎通が難しい場合は出産経験者などにメンター(助言者)として間に入ってもらう」などを挙げている。 池内氏は「企業の中では制度が必要」といい、「パワハラやセクハラの研修と同じように、妊婦さんに対してどう接するのかという研修やトレーニングが必要だ。その上で、本人が望んでいないことを言わない」。 さらに、「日本はおめでたい情報を共有すべきという意識が、企業の上司側にある可能性が高い。それは企業の体質だ。だから、職場での教育はすごく大事だ」と述べた。 (『ABEMA Prime』より)