ハーレーのモデルチェンジが少ない理由は? デザイン部門トップに聞く
――すでに土台があるということですが、バイクをデザインする上では、逆にその土台が縛りになったり、制限になったりして難しい側面もあるのでは? リチャーズさん:もちろん、良い面と難しい面の両方があります。難しい面として、新しいテクノロジーが入ってくることによって、モーターサイクルのソウル的な部分が失われてしまう感覚があります。良い面としては、すでに皆さんが愛してくださっている土台があるので、そこから開発することができます。私自身は、こうしたデザインの仕方ができることは、すごくやりやすいと感じています。 ■ハーレーのデザイントップが注目する年代は? ――ハーレーの歴史の中でも象徴的なモデルを選び、現代の技術で復活させる「アイコンコレクション」というシリーズがありますが、車種はどういう基準で選定しているんですか? リチャーズさん:世代によってノスタルジックや懐かしさ、カッコよさを感じるポイントは違うと思います。その年代が被らないということは意識しながら、みんながカッコいいと思えるものが作れるモデルを選んでいます。
――アイコンコレクションではこれまで、かつてのアメリカのカスタムシーンにインスパイアされたモデルが登場してきました。今後、注目している年代はありますか? リチャーズさん:これまでは1940年代~1950年代に影響を受けたモデルが中心でしたが、1970年代~1980年代にもすばらしいバイクがあります。個人的には、こうした少し新しい世代に興味を持っています。
――最後に、日本のカスタムシーンにはどんな印象をお持ちか教えてください。 リチャーズさん:日本に来て、いつも面白いと思うのが、いろいろな違ったジャンルのものを合体させて作るカスタムがすごく強いということです。例えば、パフォーマンスとチョッパーの組み合わせは日本独特で、アメリカの場合だとチョッパーはチョッパー、パフォーマンスはパフォーマンスになります。新しいものを集めて作り上げる日本のカスタムには、私自身すごく刺激を受けています。 ■ 安藤康之 あんどうやすゆき フリーライター/フォトグラファー。編集プロダクション、出版社勤務を経て2018年よりフリーでの活動を開始。クルマやバイク、競馬やグルメなどジャンルを問わず活動中。
安藤康之