メルセデス・ベンツ新型Eクラスを国内で初試乗。真骨頂はお買い得なPHEV?それともスポーティなディーゼル!?ゴルフのお供に選ぶなら・・・【公道試乗】
「精度感」がより高いディーゼルターボ
プラグインハイブリッドの強みであるEVとしての走行性能に関しても、むやみに力強さを強調するのではなく、豊かなトルクとスムーズさが調和しながらスピードを伸ばしていきます。 第4世代のバッテリーシステムはエネルギー容量が25.4kWh(うち19.5kWhをEV走行に使用)、EV走行時の最高速度は140km/h、航続距離は112kmまで伸びています。日常的には、ほぼほぼBEVとして利用することが前提、と考えていいでしょう。 ドライバーが、積極的に効率的な運転をしやすいインターフェイスも好印象でした。前面ディスプレイの右メーターは中立を境にEVマネジメントとエンジン回転数が切り替わるレイアウト。ちょうどセンター付近でアクセルペダルの踏み込みを調整しやすいように思えました。 ペダルの踏み込み加減次第で即座にエンジンがかかりますが、切り替えもまたシームレス。ちょっとスポーティに走りたい時などには、電気モーターとガソリンエンジンの使い分けを積極的に楽しめそうです。 ただし、走行しながらチャージする専用のモードは設定されていないことには、注意しましょう。ドライブモードを「SPORT」モードにするとエンジンが充電してくれますが、バッテリー残量計の数値が「みるみる増えていく」という感じではありません。 「Battery」モードはブレーキング時の回生力を高め、バッテリーの減りを抑制してくれますが、やはり積極的に増やしてくれるものではありません。市街地で効率よく走るための余裕を残しておくように、アクセルの踏み具合に気を配るのもお忘れなく。 とはいえ、最大60kWのCHAdeMO充電に対応するので、いざとなったら途中で充電してもいいし、そもそもガソリンで走る時にも環境に配慮したドライビングを心がければ済むハズ。そういう意味での自由自在感もやはり「らくちん感」につながりそうです。 そんなPHEVからディーゼルターボのE 220 dに乗り換えると、新型Eクラスが持つもうひとつの一面が見えてきます。それは、Eクラスがとびきりのドライバーズセダンでもある、ということ。心地よい脈動感をともないながらリニアに湧き上がってくる強トルクは、電気モーター以上に雄弁な「楽しさ」を味わわせてくれます。 試乗車に装着されていたピレリ Pゼロのおかげもあるのでしょうか、ハンドル操作に対するレスポンスはより自然(E 350 eはミシュランのeプライマシーでした)。メカニカルなラグを細かなところで詰めていったかのような、一体感とダイレクト感が生まれています。エアサスも後輪操舵もなく比較的コンサバな仕様だからこそ、新型Eクラスが秘めた「本質」が見えてくるように思えました。 それにしてもこのディーゼル、楽しすぎてちょっと問題ありかも。ゴルフの帰りに近場のワインディングで「寄り道」したくなってしまいそう。早朝から出かけて夕方になっても帰らず、「お父さんは朝早くから遊びに行って、今頃どこで油を売っているのかしら・・・」なんて家族に訝しまれたりしないように、ご注意を。(写真:井上雅行/メルセデス・ベンツ日本)