【解説】相次ぐ「免税悪用」対策に新たな一手!2027年スタート方針の「リファンド方式」とは? “偽装役”のバイトをSNSで募集する実態も
対抗策は「リファンド方式」2027年スタートの方針
12月20日、政府与党は免税制度が悪用されている現状を踏まえ、税制大綱で具体的な対抗策を示した。 空港で商品を確認してから、免税分をまとめて返金するリファンド方式で、2027年11月1日から始める方針だ。 今の制度では外国人旅行客は店舗で商品を免税価格で購入することができるが、リファンド方式では、私たち日本人と同じように課税された価格で買い物をすることになる。 出国する際に、空港の税関で実際に商品を確認してもらわなければ、免税分の返金は受けられない。 関係者によると、出発ロビーには専用エリアが開設され、免税店・国税庁・税関をつなぐシステム端末を操作して旅券の提示や商品の確認の手続きを行うという。
税関に外国人旅行客が押し寄せる事態に!?
想定されるのは、空港に返金を求める外国人旅行客が押し寄せる事態だ。 旅行客全員への正確な確認と返金をするには、新システムの導入とともに手続きの効率化を進めることが必至だ。 政府の資料によると、2023年3月までの1年間に免税品を1億円以上購入した外国人旅行客は374人確認されたが、税関の今の体制で検査できたのは2割にも満たない57人だった。 その大多数の56人が課税するべきと判断されたが、納めるだけの現金を持っておらず55人は滞納したまま出国している。今の仕組みでは人的・技術的に限界がある。 また、新たな制度では、免税分の返金については国からではなく免税店からというルールになる。 事業者ごとに返金方法が異なるケースもあるとみられ、旅行客が混乱しないよう配慮する必要がある。 ある国税OBの税理士は、「免税購入した者による不正な横流しなど、免税制度を悪用した不正還付は以前から横行していた。しかしリファンド方式の導入で外国人旅行客を使った不正にはかなり効果があるのではないか」と話す。 財源確保や増税の論争が続く中、インバウンド需要の伸びにあわせた適切な課税ができる仕組みに期待したい。 【取材・執筆:フジテレビ社会部司法クラブ 小溝茜里】
小溝茜里